「神主打法」とは、野球における打法の1つ。スクエアにスタンスを取り、バットを身体の横、もしくは体の正面でゆったりと構えるものであり、神職がお祓いをする様子に似ていることから、そう称されるようになった。3度の三冠王に輝いた元プロ野球選手・落合博満氏の打法として有名だが、この構えを採用しているプロ野球選手は極端に少ないことから、容易には習得不可能な打法に違いない。
日本プロ野球のOBの1300人が所属している『プロ野球OBクラブ』のYouTubeチャンネル〈プロ野球OBクラブチャンネル〉の、11月2日付け投稿回に、ヤクルトスワローズ一筋、元プロ野球選手の八重樫幸雄氏が出演。八重樫氏も極端なオープンスタンスで、落合氏に似た「神主打法」であったが、八重樫氏が一軍登録されたのは1971年から。一方、落合氏が一軍で活躍を始めたのは79年からであり、「似た」…などという表現は相応しくなく、「神主打法」においては八重樫氏が「先輩」ということになる。
そこで、八重樫氏は「落合に聞いたんだよ、オレのマネしたんか?」と訊ねたこともあったと冗談めかして明かしてはいるが、どうやらそうではなく、落合氏が工夫を凝らした末に到達した構えのようだ。
なお、今投稿回でMCを務める元プロ野球選手・中根仁氏によれば、落合氏にバッティングの教えを請うた人から聞いた話として、「9割は(球から)逃げるんだよ」と言ったのだとか…。落合氏は手袋を使用せず、また当時は耳当てのないヘルメットで、レガースなどの防具が整備されていなかった時代だ。
落合氏の独特なあの構えは、「いかに打つか?」ではなく、「いかに逃げるか?」を想定して熟慮されていたのかもしれないと思うと、感慨深く、野球の見方が変わってくる…?
(ユーチューブライター・所ひで)