主に巨人で活躍した元プロ野球選手の川相昌弘氏と言えば、通算犠打の成功率が9割を超える、犠打バント「533本」の世界記録保持者ながら、3ケタ安打を放つことも5回。中でも、1994年の「143安打」、打率「.302」は自身のキャリアハイであり、こと打率においては、落合博満氏(.280)、松井秀喜氏(.294)、原辰徳氏(.290)などを差し置いて、この年の巨人ナインの最高打率であった。
その川相氏が、YouTubeチャンネル〈野球いっかん!〉に出演。不動の2番の印象が強い川相氏だが、94年を振り返ったところ、落合氏の進言により、6番で打席に立つ試合があったことを回顧した。
同チャンネルの11月4日付け投稿回〈落合博満さん巨人時代の忘れられない話。10.8の94年、連敗中に選手でスタメンを決めた試合が有った。〉がその動画だが、川井氏の記憶では、点が取れなくなり、連敗が重なった8月か9月ごろ、ナゴヤ球場でのとある試合において、当時の長嶋茂雄監督から、選手(野手)だけで打順を決めるよう申しつけがあったのだそうだ。
吉村禎章選手会長の司会進行の中、落合氏が「今、川相が一番調子良いから、ポイントゲッターになるのに(クリーンナップの後の)6番が良い」と進言したのだそうで、この試合で川相氏はタイムリーヒットを打ち、勝利を手繰り寄せたのだと振り返った。数試合後には、川相氏は2番に戻ったそうだが、ご記憶にあろうか?94年は国民的行事と呼ばれた「10.8決戦」を経て、巨人が劇的なリーグ優勝を遂げた年である。
この落合氏の“名采配”、後に中日の監督に就任し、「オレ流」と称された前触れだったのかもしれない…。
(ユーチューブライター・所ひで)