日本プロ野球、1989年の日本シリーズの結末は劇的だった。初戦から3連敗で追い詰められた巨人。第3戦に先発し、「6回1/3」を無失点に抑えてお立ち台に上がった近鉄の加藤哲郎氏が、
「フォアボールさえ出さなかったら打たれそうな気がしなかったんで、まあ、たいしたことなかったですね」
「シーズンのほうがよっぽどしんどかったですからね、相手も強いし」
などと巨人を“挑発”。これに巨人ナインが奮起して第7戦までもつれ込み、逆転日本一を遂げたのだ。
そんな「89年の日本シリーズ」について、巨人で活躍した元プロ野球選手、槙原寛己氏のYouTubeチャンネル〈ミスターパーフェクト槙原〉に、元プロ野球選手・監督であり、89年当時は、近鉄で一軍投手コーチを務めていた権藤博氏が出演(11月27日付け投稿回)し、回顧する場面があった。
冒頭の日本シリーズを振り返り、「加藤の口をふさぐべきでしたね」と、冗談めかして口にした槙原氏。
すると、権藤氏は、ロッテとデッドヒートを繰り広げていたシーズン終盤を振り返り、また勝てるとは思っていなかった巨人に3連勝して近鉄ナインは少々舞い上がっていた、と素直に感想を漏らした。
加藤氏の発言には、加藤氏が性格的にマスコミに上げ足を取られやすいと、かばう姿勢を貫いたが、「もう1回投げることはないだろうって思ったら、もう1回投げて…」と、苦笑を浮かべた。
これを受け、「加藤が7戦目まで行ったら絶対来るから、アイツが出てくるまでは負けねえぞ…って、なっちゃんたんですよ」とも槙原氏は明かしたものだった。
当時の近鉄・仰木彬監督が他界して久しい今、権藤氏から貴重な意見を拝聴できる回だったが、念のため、加藤氏は、ロッテを引き合いに巨人が弱いとは発言していなかったことを、付記しておきたい。
(ユーチューブライター・所ひで)