巨人の終身名誉監督・長嶋茂雄氏と言えば、天然キャラゆえの様々な仰天エピソードを残している。長男・一茂氏の「置き去り事件」も有名で、後楽園球場に伴った幼少時の一茂氏を観客席に残し、試合が終わると長嶋氏は1人で意気揚々と帰宅してしまうこと、たびたびだったとか…。
そんな長嶋氏を巡る「うっかりエピソード」を、「巨人三本柱」で活躍した元プロ野球選手の槙原寛己氏が、プロ野球のOBが1300人が所属する「プロ野球OBクラブ」のYouTubeチャンネル〈プロ野球OBクラブチャンネル〉に出演して明かしていた(12月1日付け投稿回)。
1993年、槙原氏は自身キャリアハイの13勝を挙げ、防御率も「2.28」と好成績を残した。シーズンオフには、いくつか他球団からの誘いもあり、一方で、巨人からの慰留のアプローチがなく巨人から出る人はいないだろうといった雰囲気もある中で、槙原氏はFA宣言した。これを引き留めたのは、当時の長嶋監督で、長嶋監督が槙原氏の自宅を訪れたが、「うっかりミス」は、その時のことである。
長嶋監督の次女・三奈さんから監督の好物だと聞いていたアップルパイを用意していた槙原氏。話を一通り済ませ、玄関で靴のヒモを結び始めた帰り支度の長嶋監督に、「アップルパイ、どうぞ持って帰って下さい」と差し出したのだという。
「おう、ありがとな」と礼を口にした長嶋監督。だが、ヒモを結び終えると、「アップルパイ、持って行かないで出て行った…」(槙原氏)と、アップルパイそっちのけで玄関を出て行ったと、槙原氏はオチをつけて軽妙に語ったのだった。
その後、すぐに追いかけて行ってアップルパイを渡したそうだが、もっとも、長嶋監督にしてみれば試合も、槙原氏の引き留めも真剣勝負。それゆえの、ホッと気の抜けた際の「うっかりミス」ということだったのではないだろうか。何とも、ますます長嶋氏に親近感がわく話であった。
(ユーチューブライター・所ひで)