前回お伝えしたように、Netflixにて配信中のビートたけしの自伝映画「浅草キッド」では、主演の柳楽優弥にビートたけしの役柄を指導するため、松村邦洋が奮闘している。
その結果、スタッフ全員を納得させる漫才ができあがった。まさに、柳楽にたけしが憑依したのだ。
ビートきよし役を演じたナイツの土屋伸之は、
「あそこまでやった柳楽優弥さんは、スゴいなって思いましたね」
とほめちぎる。土屋自身も、
「オレ、めちゃくちゃ頑張って半年間、きよし師匠役を練習したけど、たぶん、見た人の感想は『柳楽優弥、スゴい』ってなると思う。もう結局、全部、柳楽さんが持っていくと思うぐらい」
と悔しがるのだった。
監督を務めた劇団ひとりも憑依の瞬間に立ち会った。
「やっと土屋君のスケジュールが取れて、柳楽さんと合わせたらね、一気に良くなっていくんですよね。柳楽さん自身も。やっぱり、引っ張ってもらえるんです。急に漫才っぽくなって。すげぇなぁって」
と心打たれた。
そして、棚から牡丹餅というか、きよし役の土屋の評価もうなぎ上りだ。劇団ひとりは、
「(漫才はプロだけど)芝居はしたことないっていうから。そこはあんまり期待してなかったんですよね。相方のナイツの塙って言えば、大根で有名だから。とんでもない“棒”ですからね。『土屋君は、どうなのかな?』って思ったら、めちゃくちゃ自然で。重宝されるんじゃないかな、これから」
と高く評価。東野幸治もこう言って追随したという。
「ナイツの土屋君も上手。塙君はクソ大根やけど。あの土屋君のスーッてする感じ、めちゃくちゃ向いてるやんとか、仕事が来るんちがうのって感じも良かったし」
今回の映画で演技を披露したわけではないのに、大根役者の烙印を押されまくったナイツの塙宣之だが、
「たけしさんってもっとあるじゃん。それこそフライデー襲撃事件も。交通事故の記者会見もあるしさ。やっぱり、スゴいよね。この前のツルハシで襲われちゃった事件もあったけどさ。波乱万丈の…」
と、たけしの自伝映画パート2をも期待するのだった。
坂下ブーラン(さかした・ぶーらん)=筆名=:1969年生まれのTVディレクター。東京都出身。専門学校卒業後、長寿バラエティ番組のADを経て、高視聴率ドキュメントバラエティの演出を担当。そのほか深夜番組、BS番組の企画制作などなど。現在、某アイドルグループのYouTube動画を制作、視聴回数の爆発をめざし奮闘中。