●ゲスト:林家木久扇(はやしや・きくおう) 1937年、東京生まれ。1960年、漫画家・清水崑氏の書生を経て、三代目桂三木助に入門。三木助の没後、八代目林家正蔵門下へ移り、林家木久蔵の名を授かる。1969年、「笑点」(日本テレビ系)のレギュラーメンバーとなり、一躍有名に。1973年、真打ち昇進。2007年には林家木久扇・二代目木久蔵の親子ダブル襲名を行い、大きな話題となった。主な著書に「林家木久扇一門本~天下御免のお弟子たち~」(秀和システム)など。3月9日、最新著書「バカのすすめ」(ダイヤモンド社)発売予定。
国民的番組「笑点」のレギュラーを長年務め、「おバカ」「ラーメン好き」など親しみやすいキャラクターで大人気の林家木久扇師匠。昨年は骨折のニュースもあったが、どんな話題も明るく笑い飛ばす。リハビリ、入院生活、笑点メンバーの入れ替えなど、天才テリーが全てを聞き出す。
テリー 師匠、ご無沙汰です。もう脚のほうは大丈夫なんですか。
木久扇 ええ。去年の5月に左大腿骨骨折をしたんですけど。(左太ももを指して)だいたい、このへんなんですけど。
テリー ハハハハ、早速ありがとうございます。
木久扇 で、リハビリをやってるんで、効果が出てるんですよ。例えば、こんなこととか(とイスからスッと立ち上がる)。
テリー あ、ほんとだ。僕より全然速い。いつでも食い逃げできますね。
木久扇 アハハハハ。普通は骨折すると、こんなふうに立てないんですよ。
テリー どういうリハビリやってるんですか。
木久扇 だんだん速くなっていくローラーに乗って歩いたり、平行棒の間を決まった速度で歩いたり。どうしても折ったほうの脚をかばうんで、右に行っちゃうんですよ。で、「まっすぐ歩くように」というので平行棒の間を。
テリー なるほど。
木久扇 で、それができるようになったら目をつむってまっすぐ歩く。これは健康な方でも難しいんです、どうしてもどちらかに曲がっちゃいますからね。今は後ろに向かって歩くというのもやってます。これもとっても難しくて。3歩まではできるんですけど、ずーっと行くんですよ。
テリー 恐怖心もあるし。
木久扇 ええ。後ろにひっくり返りそうになった時にパッと足が出るんです。その運動なんですね。とっても地味なことばっかりやらされるんです。
テリー それを週に何回ぐらい。
木久扇 行くのは週1ですけど、家でもやってくださいって言われてまして。それで今は、正座の訓練もやってるんです。5分ぐらいはできるんですけど、落語は普通、短くて15分、長いと30分ですから、そこを目指してます。
テリー まだ正座はムリしなくてもいいんじゃないですか。僕も今、空手を習ってるんですけど、稽古の前の正座がツラくてツラくて。
木久扇 とっても無理な格好なんですよ、正座はね。
テリー あ、本来は。
木久扇 でも、先生に「どうしても正座をしたいんです。スターはセイザを目指す」なんて言って。もうリハビリの先生まで笑わせようとするから大変ですよ、くたびれちゃって。
テリー エラい! さすがだなぁ。
木久扇 何でも冗談にすると自分の気持ちも軽くなるんですね。
テリー でも、師匠みたいにいつまでも軽くいるって難しいですよね。「師匠」っていうのも、なんか「先生」と同じで、重みが出ちゃうじゃないですか。