2月28日、動画配信サービスのDAZNが、3月24日に行われるW杯アジア最終予選のオーストラリア戦について、異例のコメントを発表した。
「オーストラリア戦の無料放送に関する弊社DAZNとの交渉についてお知らせいたします。日本サッカー協会様からは一度条件のご提案をいただいた事実はございますが、ご提案内容がすでにDAZNにご加入いただいているお客様やファンの皆様にとってフェアなものではなく、両者の共通認識として交渉はすでに終了していると捉えております」
ここまでDAZNが断固たる口調で、「交渉終了」を強調した理由は、サッカー協会の田嶋幸三会長の発言が関係していた。
「オーストラリア戦は勝てばW杯出場が決まる大事な一戦ということもあり、2月28日にオンライン取材を受けた際、『(地上波で)見られないだろうか』と交渉を続けていることを明らかにしました。ただ、最終予選のアウェー戦はDAZNの独占放送が決まっているだけに、DAZN側が即座に火消しに走ったのです」(サッカーライター)
実は、この件に関して田嶋会長の発言はこれが初めてではなかった。
サウジアラビアに快勝した2月1日の翌日に、「自腹を払ってでも、(地上波中継が)できないか考えている」とコメント。この時もDAZNは発言を受けて、予定通り独占配信することを発表している。
「サッカー人気が低迷し、田嶋会長としては情に訴えてでも、地上波中継を実現させて盛り上げたかったのでしょう。それでも、DAZN側にしたら、過去にW杯予選を中継していたテレビ朝日が撤退せざるを得ないほどの高額な要求をのんで放映権を獲得。大一番だから相乗りさせろというのは筋が通らない話でしょう」(前出・サッカーライター)
田嶋会長の“おねだり攻撃”に、さすがのサッカーファンも、〈DAZNの対応は一企業としたら当然〉、〈今更パフォーマンス的に交渉してますなんて言っても誰も共感していない〉など厳しい意見が目立った。
こんな事態になることは、W杯アジア最終予選の開幕前からわかっていたはずだが…。
(写真はイメージ)