サッカー日本代表・森保一監督への続投要請は、八方ふさがりの結果だった。
ワールドカップ(W杯)カタール大会で日本を2大会連続の決勝トーナメント進出に導いた森保監督に対し、サッカー協会の田嶋幸三会長は「候補者の中の1人」と明言し、続投要請の方向に進んでいる。
これまで代表監督はW杯本大会をもって退任し、新たな人間が監督に就任するのが慣例となってきた。そのため、大会前には候補者のリストアップが終了。交渉を開始して本大会終了後、あまり時間をおかずに発表されてきた。
現時点で、代表監督候補のリストアップ作業は進行していない。
確かに協会側は代表チームを率いてドイツ、スペインというW杯優勝経験国を倒し、E組1位で決勝トーナメントに進出させた森保監督の指導力を高く評価している。また、世界的に有名な指導者を代表監督に招くには、高額な契約金や年俸が必要になってくる。
ここ数年のサッカー人気低迷で協会側には資金的な余裕がないため、外国人監督に比べて安い金額で代表を任せられる森保監督の続投に傾いた、という見方もある。
だが、日本の指導に難色を示す外国人指導者が続出しているのが、大きな要因なのだという。
長年にわたり代表チームを取材してきたサッカーライターが説明する。
「前回、ロシアW杯の開幕2カ月前にヴァヒド・ハリルホジッチ監督を解任したことが響いています。確かにハリルホジッチ監督体制は末期的で、西野朗監督に交代して決勝トーナメントに進出した。日本にとっては結果オーライですが、W杯で結果を残してステップアップを狙う外国人指導者にとっては死活問題。『そんな危ない国を指導するのはリスクがありすぎる』と二の足を踏むムードが、プロの外国人指導者たちの中にはあります」
その点、日本人の森保監督なら、首をすげ替えやすい。ただ、今回、チームをベスト16に導いたことでアジア、中東各国の代表や強豪国からのオファー殺到が予想されており、協会の思惑通りにいくかどうか。
(阿部勝彦)