修羅場には「金銭闘争」が付いて回る。稼ぎの多い人気芸能人ともなれば、その金額も対立も激しさを増していくばかり。あの金はどこへ行ったのか──。
破格の慰謝料が大きな話題になったのは千昌夫(74)だ。人気歌手として活躍する一方、不動産業に傾倒して米ハワイのホノルルをはじめ、世界中の土地やマンション、ホテルを買いまくり「歌う不動産王」とも呼ばれた千は、72年に米歌手のジョーン・シェパード(77)と結婚した。CMで夫婦共演も果たしたが、88年に離婚。その慰謝料が空前の50億円とも言われた。
「現夫人のアマンダさんもそうですが、千さんは白人の美人系が好み。それで浮気をしたんですが、シェパードさんは潔癖症だから絶対に許さない。慰謝料は50億円ということになっていますが、そもそもシェパードさんも会社の役員に入っていたので、あくまで会社の資産額という意味での50億円ということでしょう。その後、一文なしになった千さんは個人で民事再生法を適用して難を逃れます。危ないところから借りていなかったのが幸いしましたね」(城下氏)
一方、松方弘樹(享年74)と仁科亜季子(68)は、意外にも慰謝料ゼロ決着となり、世間の耳目を集めた。
松方は不倫関係から79年に仁科と再婚。しかし、87年に歌手・千葉マリアとの間に2歳になる隠し子が発覚すると、記者会見で妻に命じられてパイプカットしていることを告白した。
「付き合いがあったので会見前に呼ばれたのですが、想定質問の話になって『養育費の額を聞かれると思いますよ』って言ったら、松方さんが平然と『月30万だ』って。『母子が困らない程度って言えばいい』で話はまとまったんですが、松方さんは『俺は言ったって平気だよ』ってね」(城下氏)
この時は離婚に至らなかったが、91年に出会った当時19歳で京都祇園の高級クラブホステス・山本万里子と不倫関係を続けて、98年に離婚する。
「松方には常に愛人がいたが山本は特別な存在で、ドラマ『HOTEL』(TBS系)で女優デビューもさせました。気に入った女性を必ず釣りに連れて行くんですが、みんな船で酔ってゲロゲロと始まっちゃうんです。ところが山本だけは三半規管が強くて何ともなかった。それでいいなって、最後まで添い遂げたそうです」(ベテラン芸能記者)
こうした状況もあり、仁科も慰謝料について妥協するつもりはなかった。しかし急転直下、あまりにも意外すぎる結末に。
「双方の弁護士が話し合い、当初、仁科サイドからは3億円の要求でした。ところが松方サイドが事前に押さえていた仁科と別の俳優との密会写真を出したら『聞いてなかったので持ち帰ります』となって、後日1億円まで下がった。さらに、松方の資産の中から仁科によるものと思われる、かなりの額の“使途不明金”が発覚。これには仁科サイドも顔色をなくし、最終的に慰謝料はなしになったんです。とはいえ、離婚後も松方名義のカードとして、100万円以上の請求書が届いた。解約しても別のカードという体で半年続いたそうです」(ベテラン芸能記者)
先のドラマ「HOTEL」に主演した高嶋政伸(55)もドロ沼劇を演じている。08年に美元(42)と結婚するも10年夏頃から別居状態になり、離婚調停を経て離婚成立まで2年以上の歳月をかけた。その間、美元から左目付近を殴られたという高嶋が「失明するかと思った」と抗議すれば、「ブス、死ね!」などと叫ぶ罵詈雑言の音声が流出するなど、暴露合戦が最高潮に達した。
「美元さんは結婚生活に『109万円必要』と言っていたようですが、実際にはそれ以上使われていて、最終的に高嶋さんは貯金がなくなったとも。お母さんの寿美花代さんは『頼むから子供は作らないで』とこぼしていたそうです」(石川氏)
金は金でも「借金返済」と「愛」が交錯したのは、羽賀研二(60)と梅宮アンナ(49)のケースである。
2人は94年頃から付き合い始めたが、アンナの周囲は交際に反対。特に父親の梅宮辰夫は羽賀を「研二」と呼び捨てにし、「希代のワル」と称して叱責や批判を繰り返した。そして95年、借金返済のためと騒がれた、ペアヌード写真集「アンナ愛の日記」(新潮社)が発売される。
「当時のアンナは羽賀に惚れ込んでいましたからね。2人が一緒に高級マンションに住んでいた頃、羽賀が『アンナはエッチが好きすぎて困る』とこぼしていた。大ゲンカをして彼女が『大嫌い!』と家から飛び出していったから『今日はゆっくり眠れるな』と思っていたら、すぐに帰ってきて『研ちゃん、シよ』だって。毎晩3回は求められたそうで『俺はステーキ大好きだけど、たまにはお茶漬けにしたい』と嘆くほどでした」(事情を知る羽賀の知人)
99年、ようやくアンナが目覚めて破局となったが、別れた後も連帯保証人として8000万円の借金返済をし続けたという。「誠意大将軍」には誠意のカケラもなかったようだ。