3月25日に開幕したプロ野球に異常事態が発生。シーズン前に自らの去就を明らかにする指揮官が2人も現れたのだ。新庄監督は単年契約にもかかわらず来季の続投を勝手に明言。片や矢野監督はキャンプ前日に今季限りでの退任を発表していた。果たして、その決断は凶と出るか吉と出るか。“退任劇”の最前線に迫った。
開幕直前、登録名を「BIGBOSS」に変更するなど、昨秋から球界の話題を独占してきた日本ハムの新庄剛志監督(50)が、開幕投手に抜擢したのはドラフト8位のルーキー・北山亘基(22)。まさに22年版“新庄劇場”の始まりだ。在京球団スコアラーが解説する。
「まず、クローザー候補だった北山をオープナー(リリーフが先発する)に起用したのには度肝を抜かれました。かねてから新庄監督は『ホークスとの開幕カードは1勝すれば儲けもの』と語っていましたが、ホークスのエース・千賀滉大(29)を相手に小刻みな継投策で立ち向かうなんて想定外もいいところ。新庄効果で日の目を見た1.5軍クラスの若手はノリノリで勢い十分です。今年の日本ハムには数字では測れない不気味さがあります」
総力戦で臨んだ初陣は1-4で敗れたものの、奇想天外な采配に他球団は警戒心を高めるばかり。しかも新庄監督に振り回されるのは、敵陣営に限った話ではない。球団関係者が次のように嘆く。
「昨年11月の監督就任記者会見で、契約年数は1年と断言していた。それなのに突然、来季の続投を宣言するとは‥‥」
まさかの放言が飛び出したのは、開幕の4日前。東京・国立代々木競技場第一体育館で開催された「東京ガールズコレクション」に、黒と青のド派手衣装で登場した新庄監督の口から「開幕してから2年間でプロ野球の歴史を変えます!」という威勢のいい“2年で辞めます宣言”が出たのだ。
「新庄監督は『3年も4年もできない。2年ぐらいの集中型でやりたいタイプ』と言い放ち、23年に開業する新球場『エスコンフィールドHOKKAIDO』元年での退任を示唆しました。ちなみに、この日は1軍本体が札幌ドームで全体練習をしていましたが、開幕前の大事な時期に監督がチームに帯同しないのは前代未聞です」(スポーツ紙デスク)
そんな外野の声などどこ吹く風。翌日も開幕に向けた練習に励むナインをよそに、都内の企業イベントに出席。指揮官らしからぬ所業が続くが、球団にいさめる術はないようで、
「大前提として3年連続Bクラスによる人気低迷と、中田翔(32)=現巨人=の暴力事件のイメージ払拭のために本社サイドが三顧の礼で迎えた監督人事。たとえるなら、有望な外国人向けのオプトアウト契約みたいなもの。1年契約とはいえ、来季以降の去就は全て新庄監督に委ねられています。さらに、あれだけメディアに露出して球団のPRにも大貢献してくれている。我々は黙認せざるをえません」(球団関係者)
今年1年が賞味期限の新庄劇場かと思ったら大間違い。果たしてBIGBOSSの“暴走劇”はどこまで続くのか。