コロナ禍で、医療機関の受診を控えている人は多い。だが、健康状態のチェックには定期的な「健康診断」が欠かせない。では「健康診断」と「検診」ではどこが違うのか、ご存知だろうか。
「健康診断」は会社や自治体などで行われるものであり、健康状態を確認して病気を予防することを目的としている。会社で受ける企業健診などは「法定健診」と呼ばれ、労働安全衛生法に基づき必要とされる最低限の検査項目のみが設定されている。検査結果も、特に治療が必要な所見がない場合は書類送付の場合も多い。つまり「健診」は、最低限の健康状態を確認するためのものであり、これだけでは病気を発見できないケースが多い。
一方、「検診」はガン検診など、特定の病気を探すための検査一般を指している。喫煙習慣が長い人なら「肺ガン検診」、近年増加している疾患の「大腸ガン検診」など、気になる症状や遺伝などを考慮して受診するのもいいだろう。
本来、病気のリスクが高くなる50代以降は、全身の健康状態を詳しく調べられる「人間ドック」を受診することが望ましい。特に男性の場合は、50歳を過ぎると前立腺ガンのリスクが高まるため、「PSA検査」をオプションでつけたほうがいいだろう。
検査範囲は「法定健診」や「メタボ健診」よりも幅広く、検査項目も約50~100と多岐にわたるため、自覚症状がない病気の早期発見や前兆となる異常を見つけることができる。検査費用は検査項目数や内容などによって、3~4万円から10万円超までと幅広いのも特徴だ。最近は1泊2日や日帰りドックも主流となっているので、予算やスケジュールに合わせて選ぶのもいいだろう。
「人間ドック」は病気の早期発見が目的だ。そのため自由診療で費用も安くないので注意しておきたい。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。