去る3月25日の日本プロ野球開幕戦、巨人は先発の菅野智之で幸先よく白星を挙げた。菅野の開幕投手は、上原浩治氏の7度目を抜いて8度目。また開幕戦5勝目は、別所毅彦氏と斎藤雅樹氏の4勝を抜いて、いずれも球団最多記録を更新した。
しかしながら、ここでふと気になることが…。「昭和の怪物」と呼ばれた江川卓氏の開幕投手の回数、ならびに勝利数が、ここに挙がってこないことだ。
江川氏は1年目の1979年こそ1ケタの9勝に甘んじていているが、80年16勝、81年20勝と2年連続最多勝を獲得しており、以後、引退する87年まで、全て2ケタ勝利。現役こそ9年で退いたが、まさしく巨人のエースであり、前述の巨人OBや菅野超えの開幕記録があってもおかしくないように思える。実はここに、江川氏のライバルと目されていた西本聖氏の存在が大きく関わっていたのだ。
江川氏は自身のYouTubeチャンネル「江川卓のたかされ【江川卓 公式チャンネル】」を4月19日に更新。そこで語られたのが、
「西本がね、春先調子いいんですよ。で、ボクは春は調子悪いの。夏場にグーンって上がっていくタイプなんですよ。本当に正しいのは、西本開幕投手」
そう冷静に分析した江川氏だが、エースのプライドか、
「だけど、イヤだったけどね」
と本音も吐露したのだった。
巨人の開幕投手は、80年から8年連続で江川氏と西本氏が交互に4度務め、江川氏が2勝1敗、西本氏が3勝という成績。江川氏の見立てはあながち間違っていないと言えそうだが、当時監督を務めていた長嶋茂雄氏、藤田元司氏、王貞治氏らの、2人をライバル関係にして発奮させようとの意図も透けて見えるようだ。
(所ひで/ユーチューブライター)