アビガンにイレッサ、ゾフルーザ…。テレビや新聞でゴリ押しされる新薬に良薬なし、である。
アメリカのノババックスが開発、製造する新しい新型コロナワクチンが、日本国内でも認可された。昔ながらの製法で作られているので副作用は少ない、安全性が高いと説明する専門家や医師もいる。
いや、ちょっと待て。「昔ながらの製法」とはどういう意味か。
これはノババックス・ワクチンの説明書に明記されているが、ワクチンの原材料は「ツマジロクサヨトウ」から作られるタンパク質である。
植物と勘違いして安易にネット検索するなかれ。これは閲覧注意の、北米や南米、アフリカで農作物に深刻な被害を与えている別名「アーミーワーム」と呼ばれる、イナゴよりも凶暴凶悪な毛虫なのだ。ウクライナ情勢や新型コロナだけでなく、この害虫による飼料用トウモロコシの不作も、世界中で食材の高騰を招く一因となっている。医療ジャーナリストによれば、
「ワクチンの原材料に虫のタンパク質を使うこと自体は、珍しくありません。日本では伝統的に、カイコを用いて薬が作られることが多いですし。カイコが作る絹は良質のタンパク質としてサプリメントになっているし、ハチミツはもちろん、蜂の子やイナゴの佃煮を食べる食文化も日本にはあります。カイコやハチが薬の材料と聞いても、抵抗感を抱く人は少ないでしょう。しかし…アーミーワームは接種を躊躇するほどグロテスクです」
北米農家を悩ませている毛虫を材料にするという発想がアメリカ人らしい。ピンチをビジネスチャンスに変える強さ、逞しさは見習いたいものである。
「自然由来の安心安全な原材料」などと喧伝されるが、生物由来のタンパク質を原料としているため、アレルギーを起こす確率も決してゼロではない。
メッセンジャーRNAのワクチンは危険で、自然由来のワクチンは安心、と思い込むのは危険だ。あくまでワクチンの選択肢が増えたと捉えるべきだろう。