新型コロナウイルスの感染の再拡大を受け、7月11日、政府分科会の尾身茂会長は岸田総理と会談後、「新たな感染の波が来たことは間違いない」と第7波に入ったという認識を示した。
現在、主流となっているのはオミクロン株のうち感染力が最も強いとされる「BA.5」。尾身会長は「現時点で強い行動制限は必要ない」と述べたが、これまで通り基本対策の徹底を訴えている。サイエンスライターが言う。
「感染力は強いものの重症化率は低く、心配はないとも言えそうですが、そもそもBA.5はワクチンが効きづらい変異株。今のワクチンはウイルス粒子が保有するスパイクタンパク質に対する抗体が十分ではないため、あまり効果が期待できないんです。厚労省の専門家会合でも、ファイザー製ワクチンの『BA.5』に対する発症予防効果は、2回目接種の6カ月後で11.4%、3回目接種の2週後で48.5%で、効果については『限定的と考えられる』としています」
また専門家会合の見解によれば、「BA.5」は感染者の増加速度はこれまでの1.3倍。8月1週目には現在主流の「BA.2」から「BA.5」にほぼ置き換わり、東京都は7月27日時点で感染者数が5万人を上回るという予測値を出している。
「アメリカ食品医薬品局(FDA)は、この秋から接種予定のワクチンについて『改良型』が必要であるとの緊急声明を出し、『BA.4』 『BA.5』に対応するブースター接種用ワクチンを取り入れるための準備を進めている。これらの改良型が日本で安定して供給できるようになるのは、おそらく年末あたりでしょう。岸田文雄首相は14日の記者会見で『新たな行動制限は現時点では考えていない』としていますが、実際に爆発的な感染が襲った場合は対応の遅れが指摘される可能性があります」(前出・サイエンスライター)
「BA.5」は、今年1月にはアフリカやイギリスで検出されていた。いったいいつまで、いたちごっこのような状況が続くのか。
(蓮見茂)