古くは「仏のゴローちゃん」と呼ばれた遠井吾郎、「浪速の春団治」こと川藤幸三、また八木裕、桧山進次郎が「代打の神様」と称された。ここぞの代打で実績を残し、人気を博す。なぜか阪神タイガースの選手が多いのだ。川藤に至っては「待ってました、春団治!」との熱狂的な声援が、甲子園球場で聞かれたものである。
こと記録において、まさに「神様級」の働きをした選手が、神宮球場にもいた。
2007年のシーズン代打起用回数「98」、代打安打数「31」は、いずれも日本プロ野球記録。元ヤクルトの真中満氏である。
元巨人・槙原寛己氏のYouTubeチャンネル〈ミスターパーフェクト槙原〉に出演すると(5月19日付け投稿回)、記録を残した理由について、
「1球目から振っていかないといけないんですよ。初球を見たら、1ストライク追い込まれるみたいな形になってしまう」
つまりは不利な形勢に陥らないよう、初球から振る準備に余念がなかったというのだ。
「初回、立ち上がり(自陣の)ピッチャーが良かったら、1回り目はまず代打ないじゃないですか。(中略)1回から3回まではあくびが出そうな状況でも、下を向いて誤魔化すとか…」
ジョークを交えながら、序盤からゲームに入り過ぎず、自分の打席に向けて集中力を切らさないことを説明したのだった。
現役時代には、一回転するような独特なフォーム「大回転打法」で話題になった真中氏。代打の切り札にはやはり、独特な個性がつきものである。
(所ひで/ユーチューブライター)