きっかけはソチ五輪で2つのメダルを獲得した「レジェンド」のひと言だった。それは瞬く間に一流中年アスリートへと拡散し、新たなユニットが誕生しようとしているのだった。
2月24日、キャンプ中の球界最年長男、中日・山本昌(48)に、今年の流行語大賞は早くも「レジェンド」で決まりか、と報道陣から振られた時だった。「レジェンドは他の競技にもいないかなぁ」とつぶやく。折しもソチ五輪からの帰国会見で、世界のレジェンド葛西紀明(41)から「通じ合うものがある」と、自身の名前をあげられたことに「ありがたい」と反応。その勢いで、サッカー界のキングカズこと三浦知良(47)、テニスのクルム伊達公子(43)を加えた「レジェンドカルテット」結成を提案したという。
2日後の26日、誕生日をクラブハウスで祝福されたカズは、レジェンドカルテット結成案に触れ、
「(葛西、伊達、山本昌と)同じようにレジェンドと呼ばれるのはうれしいね。まず、みんなで健康診断でもしてから食事会かな」
と「レジェンド会」開催を呼びかけたのだった。スポーツ紙デスクが言う。
「カズの提案を受け、再び山本昌が呼応。『それなら豊も誘わないといけない』と、武豊騎手(45)にも『入会』を促しました」
スポーツ各界でいまだ第一線で活動中の一流中年アスリートによる豪華ユニットの誕生である。スポーツライターが、彼らの異業種交流のきっかけについて解説する。
「カズと山本昌は鳥取市のスポーツジム『ワールドウィング』の会員同士として知り合いました。このジムはプロ野球、サッカー、テニス、陸上、水泳、ゴルフ、スケートなど、あらゆるジャンルのアスリートが多数、指導を受けていることで知られている。しかも、カズは野球にものすごく対抗心を燃やし、意識している。日本の2大スポーツであるとの自負を持ちつつも、球界との年俸格差に『サッカー界も早くそうなればいいのに』と言っています。カズと伊達をつなげたのは、かつてJリーグのヴェルディ川崎(現・東京ヴェルディ)でカズとチームメイトだったビスマルクです。当時、ビスマルクは伊達と交際中で、伊達にカズを紹介したのです」
山本昌は著書「133キロ怪速球」(ベースボール・マガジン社)で、武との交遊関係を次のように書いている。
〈京都競馬場での騎乗を終え、名古屋での僕の祝賀会にかけつけてくれた〉
祝賀会とは、200勝達成を記念してのものだ。
〈彼とは飲み友達。とにかく、酒が強い。(中略)僕も競馬には少々、うるさい。だから酒席でも馬の話を聞きたがる〉
ちなみに武はスピードマニアゆえ、レーシングドライバーのミハエル・クルムを夫に持つ伊達とも話が合う。もちろん、カズと武も旧知の間柄で、
「カズが京都パープルサンガ時代に飲み歩いた祇園で、京都在住の武と知り合った」(前出・デスク)
どうやらレジェンド会の中心となるのはカズのようで、会の開催もカズが仕切り役。デスクが続ける。
「同世代で頑張っているストイックなアスリートを強く意識しているからです。カズが『やる』と言えば、オフには皆で集まることができる。テーマは、『東京五輪をいかに盛り上げるか』です。サッカーとテニスは正式種目だし、野球は正式種目として復活させたい。競馬は‥‥種目としては馬術ですが、武は異業種有名人との飲み会が大好きですからね」
20年・東京五輪成功に向けての「特別広報担当」として、「レジェンド会」にフル回転してもらってはどうだろう。