6月16日の放送をもってシリーズ終了した「警視庁・捜査一課長」(テレビ朝日系)。最終回の視聴率は10%を超え、人気ドラマの最終回にふさわしい、刑事ドラマ史上に残る、どんでん返しのラストが待ち受けていた。ところが──。
「脚本は非常に凝っており、業界内での評判はすこぶる良かった。インターネットを取り巻く技術が日進月歩の今だからこそ、視聴者をあっと言わせる『トリック』が成り立ちました。ところがYahoo!のコメント欄や個人ブログは、最新のIT技術についていけない高齢視聴者からの『意味がわからない』という不満で埋まりました」(制作会社関係者)
映画「シン・ウルトラマン」のレビューでも、似たような光景を見た。55年前のウルトラマンのテレビ放送を見ていた世代が「昔はよかった」「昔の俳優はよかった」「昭和の特撮はよかった」という自らの思い出自慢で、年寄りマウントを取りまくっている。
中高年の評判などアテにせず、実際に「シン・ウルトラマン」を見に行ったところ、小学生から大学生まで、
「マーヴェリックは親や祖父母が盛り上がっているだけで、ついていけない。『シン・ウルトラマン』の方が面白かった」
「シン・ウルトラマン」のネガティブな評判もまた、映画で登場する科学技術の進歩についていけない年寄りの恨み節なのだと気が付いた。前出・制作会社関係者は、
「テレビ朝日の木曜のドラマ枠が惜しまれながらも終了するのは、スポンサーが購買力も順応性もない高齢者の視聴者を見限った、ということなのだと合点がいきました。制作側にとってもマンネリを脱し、若い感性や次々と新しい試みを取り入れたいのに、そうすると話題についていけない高齢者がネットで叩き、テレビ局にまで苦情をよこす。制作者はモチベーションが続かないし、若手も育たない」
こうして視聴者がお気に入りの番組を潰してしまうことになるとは…。
先日のカンヌ映画祭で主演のソン・ガンホが最優秀男優賞を受賞するなど、高評価を得た「ベイビー・ブローカー」の是枝裕和監督も「日本の映画界は高齢化している」と地盤沈下を危惧していた。
「地上波テレビ局がこのまま高齢者の顔色を窺っていたら、スポンサーはますますYouTubeなどのデジタルコンテンツに奪われるでしょう」(前出・制作会社関係者)
地上波テレビにはこれからも意欲作を作ってほしいものだ。