よくも毎度毎度、新井ネタが尽きないものだと感心するが、今回は開幕直前ということで、各球団の戦力分析にも話題は及ぶ。
──順位予想とか聞かれると思うんですけども。
「ヘタしたら(阪神は)3位じゃないかと思っているんですよね。皆さんどう思います? 優勝と思う人は?」
アニキの問いかけに会場の反応は「ムリムリ」といった声が上がる。さらに「じゃあ2位だと思う人?」「3位?」「Bクラス?」と質問を投げかけると、会場の予想は3位かBクラスへの拍手が多数を占める。熱狂的阪神ファンは、意外にも冷静だったのだ。ちなみにアニキの予想は、1位・巨人、2位・阪神、3位・広島、4位・横浜DeNA、5位・中日、最下位・ヤクルト。ちなみに去年の順位予想ではみごとな的中率を見せている。その冴え渡る勘を、今年も発揮することができるのだろうか。
そして、話題はアニキの若トラ評へ。
──今年の沖縄キャンプで若い選手とけっこうお会いになったとうかがっていますが、キャッチャーの梅野(隆太郎=22=)は?
「バッティングはいいですね。ちょっと基本からかなり外れてるんですけど、あの形でよく打ってるほうが不思議なくらい。もうちょっとちゃんとした形で覚えさせたらもっと打ちますよ、彼は」
梅野は福岡大を経て、昨年のドラフト4位入団。春季キャンプでは新人ながら一軍選手主体の沖縄に参加しており、新人選手の中で唯一、公式開幕戦を一軍で迎えた。そんな注目株に、アニキは期待をかける。
だが、それと同時に現在のタイガースの指導方法にも警鐘を鳴らしている。
「阪神はね、小さく小さくまとめるんですよね。右打ち、バント、内野ゴロ、エンドラン。そんなの二の次三の次でいいんですよ。梅野もね、もしかしたらバッティングがよくなったら、キャッチャーですけどバッティングを生かすために外野手にしてね。そうやって育てるのは半端ですよ。それでトレードに出されて他球団で活躍されるというね。よく見るし、よく聞く話ですよね」
と阪神の育成方針を揶揄。さらに返す刀でもう一人の若トラ、緒方凌介(23)に対する関西マスコミの報道にもツッコミを入れた。
「新聞では、『走らせたら赤星並み。投げさせたら新庄』。で、実際に見たんですけど、走る姿も赤星のほうが断然速い。新庄のほうが全然肩強いから。関西のスポーツ新聞に慣れてる自分でもダマされましたからね。肩もいいし、足も速いんですよ。だけど赤星の足と新庄の肩は言いすぎ」
こうは言ったものの、緒方もアニキが評価している選手なのは間違いない。
「掛布(雅之=58=)さんと話してて、『ホームランバッターにしたいですよね』って言ったら『おぉ、そうだねぇ。行けるかぁ』って」
箸休めに掛布氏のモノマネを披露して会場の笑いを誘う。
残り時間もわずかとなってきたところで、かつての上司、岡田彰布氏(56)についても語っている。
「04年から藤山寛美さんが監督をされて、いや、岡田監督ね、似てますよね」
藤山寛美といえば、昭和の上方喜劇を代表する爆笑王と言われた喜劇役者。在阪スポーツ紙デスクが言う。
「藤山さんと岡田さんの顔がよう似とると、阪神ファンの間では持ちきりでした。80年代、岡田さんがまだ現役の頃、ヤジの中に『岡田は寛美の隠し子や』というものもあったほどですわ(笑)」