新型コロナウイルスの集団感染に見舞われ、7月19日からの3日間で選手41人(うち支配下34人)の陽性者を出した巨人。22日からの中日3連戦は延期となり、首脳陣はホッと胸をなで下ろしたに違いない。が、その後も原監督はじめ陽性者が続出。チームは戦犯だらけの“死に体”に喘いでいる。
「まず、主将であり攻守の要となる坂本勇人(33)の不在こそがチーム低迷の原因でしょう」
古巣の窮状を嘆くのは野球評論家の伊原春樹氏だ。坂本が腰痛で出場選手登録を抹消されたのは7月7日。今季3度目となる戦線離脱に、スポーツ紙デスクはこんな見解を示す。
「開幕戦こそ『左内腹斜筋筋損傷』で出遅れながら3戦目に復帰。しかし、4月30日の阪神戦で守備中に右膝の靱帯を損傷して出場選手登録を抹消されている。プロ2年目からショートで出続けた勤続疲労で腰が悲鳴を上げているのでしょう。2度目の離脱のタイミングで、原辰徳監督(64)から守備負担の少ないファーストへのコンバートを提案されましたが、内野の花形ポジションへのこだわりから固辞。結果、持病を悪化させてしまった」
ここまで通算2170安打を放ったショートストップは、球界でも希少な存在だ。となれば、代役探しも容易ではないはず。スポーツ紙デスクが続ける。
「2年目の中山礼都(20)や5年目の湯浅大(22)ら若手内野手では攻守ともに力不足は否めない。そのため、球団は坂本に代わるショートをトレードで獲得しようと水面下で動き始めている。決してその場しのぎではない、向こう4~5年はレギュラーを張れる将来性が条件といいます。適切な後継者がいれば坂本もコンバートを受け入れざるをえないでしょうからね。ただ、他球団がそんな主力を献上してくれるのか‥‥」
一方で、伊原氏は数字には表れない坂本の貢献度と新たな問題点を挙げる。
「坂本は、ピンチのたびにマウンドに気の利いた声がけをしていた。残念ながら、今の内野陣に同じ役割を担える人材がいない。本来であれば、生え抜きで4番の岡本和真(26)が先頭に立ってムードメーカーになるべきだが、おとなしい性格のせいか坂本の真似ができない。もはや、怠慢に等しいですよ。同じ4番サードでもヤクルトの村上宗隆(22)は、自分が不振でも拳を振り上げて声を出していますしね。この姿勢を岡本も見習うべき」
これも精神的支柱を欠いた影響なのか。7月15日の広島3連戦から18日のヤクルト戦にかけて、史上初となる4戦連続満塁弾を献上した。7月22日時点のチーム防御率4.09、300与四球はいずれも12球団ワーストで、“投壊地獄”から抜け出せずにいる。
「菅野智之(32)の衰えは今季の計算に入っていなかったはず。ストレートのスピードやスライダーのキレを失い、常に1~2失点に抑えていた2020年までのイメージとはほど遠い。巧みな投球術で、なんとかエース格に踏みとどまっている状態」(前出・伊原氏)
頼みのリリーフも炎上続きとあっては、投手陣を預かる桑田真澄投手チーフコーチ(54)も責任を免れないだろう。球団関係者が耳打ちする。
「原監督からプレッシャーをかけられているのか、功を急いで焦りが見え隠れしています。最近は、投手陣の調整方法やフォームにネチネチと口出しする場面が増えました。物言いは柔らかいものの、自分の主張を曲げないので、一部の投手から疎まれることも」
さらにチームの雰囲気を険悪にしているのが原監督の采配そのものだ。
「各チーフコーチに裁量を与えているのは表向きの話。スタメンや作戦を決めるのは原監督です。とりわけ、チーム内で不評を買っているのはウォーカー(30)とポランコ(30)の起用法。2人ともナイスガイで、打撃はそこそこの成績を残していますが、外野守備は甲子園球児にも劣るレベルですからね。それでも原監督の肝煎りで使われ続けています」(前出・球団関係者)
こうしたチーム状況では、若手の突き上げも期待できそうになく、
「ファームの選手が利用する寮の食堂では、1.5軍クラスの選手たちがブー垂れていますよ。『なんでヘタクソ外人ばかり使うんだ』、『最下位でも球団は監督をクビにできない契約なんでしょ』などと恨み節ばかりです」(前出・球団関係者)
もはや「V逸」は確定的。戦犯リストの6人目に名を刻むのは──。