3年後に先延ばしされたはずの次期監督レースに異常事態が発生。なんと、早ければ今オフにも禅譲されるとの観測気球がブチ上がったのである。数年前から既定路線の上を歩みながら、年を経るごとに職権が縮小傾向の“鬼軍曹”は焦りを隠せない。大外からまくり気味に猛チャージする“クセ者コーチ”が立ちはだかっているのだから──。
開幕から4月を20勝11敗で首位通過した巨人。好調なチームと反比例するように、実は阿部慎之助作戦兼ディフェンスチーフコーチ(43)の影が薄まっている。巨人の球団スタッフが声を潜めてつぶやく。
「もとから唯我独尊タイプで他人を寄せ付けないオーラを放っていましたが、昨季終盤から1軍に昇格して、なおいっそう絡みづらい存在になってしまった。2軍監督時代のパワハラまがいの言動や罰走を辞さない厳しさが知れ渡っているため、選手から敬遠されているんです」
ホームランを量産する大型捕手として名を馳せた現役時代から一転、引退後に進んだ指導者の道では「鬼軍曹」と揶揄されるばかりなのだ。その上、今季はまばゆい存在感を放つ他コーチの影響で、より影をひそめてしまっている。先の球団スタッフが続ける。
「開幕ダッシュの立役者は桑田真澄投手チーフコーチ(54)で間違いないでしょう。前任者から投手陣の全権を引き継ぐや、ドラ1ルーキーの大勢(22)のクローザー抜擢をはじめ、積極的に若手を起用。昨季、アタマからケツまで崩壊寸前だった投手陣を見事に立て直しました。ソフトな口調が今の選手たちと相性が良く、あの偏屈で扱いづらい菅野智之(32)でさえも、桑田コーチの話には耳を傾けています」
対する阿部コーチの評判については、球界関係者が後を引き継ぐ。
「今季の阿部コーチの話題はダイエットぐらいですよ。現役時代から20キロ以上の減量に成功しましたが、選手たちは『仕事がないから“俺もやっている”アピールをしているだけ』なんて陰口を叩かれています」
もはや、選手時代の威光は失墜したも同然。そんな矢先に浮上したのが、「監督前倒し禅譲プラン」である。
スポーツ紙デスクが解説する。
「昨オフに新たに3年契約を結んだ原辰徳監督(63)ですが、今季限りで勇退するシナリオを描いていると言われています。なんでも、今季は例年に比べてパ・リーグの弱体化が目立つため、10年ぶりに日本一を奪還できると踏んでいるようです。有終の美で監督を退いて華々しくNPBコミッショナーに君臨する絵図を描いている。今、球団と親会社では、3年の猶予を与えられてペンディングになっていた“ポスト原”の議論が急ピッチで展開されている‥‥」
そして意外にも、次期監督候補として浮上したのが、阿部コーチでも桑田コーチでもない、第3の男の名前だった。