ここへ来て、にわかに安倍元首相の「国葬」中止が現実味を帯び始めている。
9月27日の実施が決定された国葬だが、7月25日に群馬県の前橋、太田、伊勢崎など8市に「中止しなければ子どもをスタンガンで気絶させて誘拐する」「小中学校から濃硫酸などを盗み、国葬会場にぶちまける」などとする内容のメールが届いていたことが判明。市民を震え上がらせる事態となり、「反対」の声は増すばかりなのだ。政治記者が説明する。
「FNNが7月23・24日に行った電話世論調査によれば、国葬決定について『よかった』と思う人は50.1%、『よくなかった』と思う人が46.9%とほぼ拮抗している。また中日新聞や南日本新聞のアンケート調査では『反対』がそれぞれ76.4%、72.2%と、地方では拒絶反応が圧倒的な状況。安倍氏の銃撃事件により政界と旧統一教会とのズブズブの関係が明らかになる中、今後もこうした声は強まるばかりでしょう」
首相経験者の国葬は1967年の吉田茂元首相以来、戦後2例目と異例中の異例。これには岸田首相の意向が強く反映されているといわれ、安倍氏を支えてきた自民党内の保守派への配慮、さらには海外へ向け「安倍氏の継承者」のイメージ付けの狙いなど、様々な思惑が指摘されている。
「自民党内、とりわけ岸田氏の周辺では、それこそ当初は国葬についてもろ手を挙げて賛成していたものの、国民の反応を見るにつけ徐々に懸念の声が出始めているようです。国民の拒絶感を無視して強硬すれば、せっかく岸田内閣がキープしてきた60%超の支持率を無下にする可能性も出てくる。ただ、岸田氏は国葬の理由を『我が国は暴力に屈せず、民主主義を断固として守り抜くという決意を示していく』としているだけに、今回のようなメールバラ撒き事件が起きるにつけ、引くに引けない状況にはなるでしょうが…」(前出・政治記者)
「国葬」実施で、再び最悪の事態が起こらないことを願うばかりだ。