芸能

追悼・蟹江敬三さん 個性派俳優が魅せた狂気の演技(1)谷ナオミと水原ゆう紀が怪演を振り返る

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 3月30日、名脇役の蟹江敬三さん(享年69歳)が、胃ガンで亡くなった。昨年ブームとなったドラマ「あまちゃん」では憎めない役柄でファンに愛された。だが、その俳優としての地位を確立したのは、ロマンポルノでの怪優ぶりだった。

「初めてご一緒した時は、蟹江さんは髪の毛も真っ黒でしたが、最近はドラマでヒゲも真っ白になって、蟹江さんも私もお互い年を取ったなと懐かしく拝見しておりました。まだお若いのに残念でなりません」

 と語るのは、団鬼六作品に数多く出演し「SMの女王」と称賛された谷ナオミ(65)だ。昨年まで熊本でクラブを経営していたが、すでにママも引退したという谷が、蟹江と共演した76年の「花芯の刺青 熟れた壺」(日活)について述懐する。

「当時の作品は今でも折々に見返すことがありますよ。日活ロマンポルノには数多く出演しましたが、蟹江さんとのこの作品は、11年にパリ国際映画祭に招待された時に『花と蛇』(日活)とともに上映された作品でもあり、思い出深い作品の一つですね。今でもワンカットワンカット、場面を思い出します」

「熟れた壺」は小沼勝監督と谷ナオミコンビの最高傑作との誉れが高い。特に、彫師の蟹江が未亡人の谷の白い背中に入れ墨を刻むと、あまりの苦痛のため谷が悶絶するシーンは最大の見せ場となっているのだ。谷が続ける。

「まさに“美女と野獣”ではないですが、異様な雰囲気の蟹江さんが私の全身に入れ墨をスジ彫りしていくシーンは今でも忘れられませんね。蟹江さんの異常な光を放つ目つきは、狂気というか鬼気迫るものがありました。あの役は、蟹江さんでなければ演じられなかったのではないでしょうか」

 ロマンポルノに数多く出演した蟹江は、強姦魔、犯罪者など汚れ役を演じ存在感を示した。その鬼気迫る演技たるや「強姦の美学」とまで称されるようになり、個性派俳優としてその地位を確固たるものとしたのだった。

 古参のテレビ関係者が振り返る。

「中でも、『Gメン’75』シリーズでは、凶悪な犯人役として複数回出演。特に、OLを暴行目的で拉致して殺害する凶悪犯・望月源治役は、最凶の犯人役として伝説化している。強姦目的でOLたちを拉致監禁したうえ、凶器の手斧で次々と惨殺していくという、まるで社会に復讐するかのような“怨技”はもはや再放送できないほどです」

 だが、個性派俳優の多くが、私生活でも破天荒な生活を送っていた時代、蟹江は私生活では驚くほど寡黙な青年だったという。

 76年に公開された「天使のはらわた 赤い教室」(日活)で、蟹江と共演した宝塚出身のアイドルだった水原ゆう紀(60)が証言する。

「目がモノを言う、目で自然に演技をしているというか、とにかくあの不思議な目が印象的な役者さんでしたね。現場では私もあまりしゃべらないほうで、撮影後の打ち上げの時にも会話した記憶がないくらい。蟹江さんは撮影現場でも、私生活でも、シャイで無口な方だったと思います。この作品で共演したあと、蟹江さんがマイナーな作品だけでなく、いろいろな作品に出演されていくのを見ていましたが、存在感のある役者でしたから売れて当然だと思っていました」

 静と動のギャップこそが、脇役ながらキラリと光る蟹江の存在感につながっていたと言えよう。

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