8月10日、岸田文雄総理は大幅な内閣改造を断行した。自民党の役員人事も含めた今回の大改造にあたり、岸田総理・総裁は新閣僚と新役員らに旧統一教会(世界平和統一家庭連合)とのこれまでの関係を自己申告させた上で、今後は関連団体も含めた旧統一教会との関係を完全に断つよう厳命し、各人に約束させた。
ところが、旧統一教会との関係が明るみ出た山際大志郎経済再生相は留任、新閣僚に抜擢された加藤勝信厚生労働相や寺田稔総務相らにも旧統一教会との関係が明らかになったほか、同じく関係が発覚した萩生田光一前経済産業相も党政調会長に大昇格。
一方、18年に行われた旧統一教会関連団体イベントで「実行委員長」を務めていた過去が露見した二之湯智氏は国家公安委員長の職を解かれたが、この件の背景には、二之湯氏を退任させただけでは済まされない、自民党と旧統一教会との「ズブズブ暗黒史」が横たわっている。
統一教会問題に詳しい警察庁OBは、怒りも新たに、
「09年6月、旧統一教会と密接な関係にあった有限会社新世の社長、幹部、販売員ら7名が、印鑑などを高額で売りつける霊感商法(特定商取引法違反)で逮捕、起訴され、懲役などの有罪判決を受けた。実はこの時、警視庁公安部はより量刑の重い詐欺罪などでの摘発を目指していたが、政界筋(自民党筋)からの圧力によって断念させられたと聞いている。しかもこの年、旧統一教会は世の批判をかわすべくコンプライアンス宣言を出したが、このアドバルーン作戦を入れ知恵したのも、政界筋だったと言われている」
こう明かした上で、次のようにも指摘した。
「このような浅からぬ因縁があったにもかかわらず、現職の国家公安委員長と旧統一教会との関係が明るみに出る──。国家公安委員長は、警察組織を監視する事実上のトップ。要するに、旧統一教会の摘発については、今もなお、政界筋から捜査当局に『待った』がかかり続けているということだ。さらに言えば、二之湯氏には、安倍(晋三)元総理の銃撃殺害事件を阻止できなかったという、重大な警備上の責任もある。この点も含めて、およそ『退任したから終わり』という話ではない」
この際、自民党は過去の膿を洗いざらい出し切って、猛省すべきである。