来季、新体制で臨むことが確定している阪神が、補強の目玉として楽天・浅村栄斗の獲得に乗り出す。
8月17日、海外FA権を取得した浅村だが、このままいけば、今季中に2度目の国内FA権を取得する。18年、西武から楽天にFA移籍した際に結んだ4年契約も、今季が最終年。オフに再びFA宣言をして、他球団への移籍を目指す可能性があるという。在京スポーツ紙遊軍記者は、
「年俸は推定5億円ですが、来季以降も同額が保証される可能性は低い。大幅なダウンを提示されれば、楽天を出ていく公算が高い」
今季は開幕から打撃の状態が上がらず、8月25日時点で打率2割5分1厘、20本塁打、66打点と、本来の力を発揮できていない。だが、年齢的には31歳とまだ若く、大きな故障もない。
20年には32本塁打を放ち、本塁打王のタイトルを獲得。西武時代の13年、18年には打点王にも輝いた打撃が、急激に衰えたとは考えにくい。環境が変われば再び、本来の輝きを取り戻す可能性は十分だ。
浅村が国内FA権を行使すれば、阪神が獲得に乗り出すことは間違いない。阪神の最大の補強ポイントは「打てる二塁手」。浅村ほど合致している選手は、国内では見当たらないからだ。阪神球団関係者は、
「藤原崇起オーナーは、次期監督の条件に『矢野路線の継承』を掲げてはいる。だが、8月24日のDeNA戦で今季23度目の完封負けを喫したように、あまりに打てない。数字が計算できる浅村は魅力だ」
浅村が加われば、ウイークポイントのひとつである、二塁が埋まる。在阪スポーツ紙デスクは、次のように分析した。
「今季、矢野監督はお気に入りの糸原をセカンドで起用しているが、打撃もさることながら、守備も今ひとつ。試合に負けると、虎党は『糸原を試合で使う矢野監督が悪い』と、その矛先を向けることが多い。打てる二塁手は、新監督もファンも大歓迎でしょう」
今や巨人を抜き、12球団一の人気球団と呼ばれる阪神にとって、年俸5億円は払えない金額ではない。獲得できれば浅村、佐藤輝、大山の長距離砲3人でクリーンアップを組むことができる。阪神は浅村のFA宣言を待っているのだ。
(阿部勝彦)