テリー この自伝を読むと、ハチミツさんはぶつかりながら生きてるよね。病気のこともそうだけど、(ビート)たけしさんのところ(オフィス北野)から別の事務所に移って、今は吉本にいるっていう。
二郎 自分では切り開いてるつもりなんですけど、いつもぶつかってますね。
テリー オフィス北野をやめたのは何だったの?
二郎 あれは部長とケンカしたっていうのもあるんですけど。
テリー 理由は?
二郎 その頃はどうしてもたけしさんの元にいる人間から、漫才の日本一が出なきゃダメだと思っていて、その話を部長としてたんです。で、「こんなペースでは吉本興業に勝てないぞ」って言ったら、その部長が「じゃあ吉本へ行ってくださいよ」って。それで、俺も若かったので、そのまま出ちゃったんですけど。
テリー たけしさんのところから日本一の漫才が出なきゃいけないっていうのは、どういう思いだったの?
二郎 その頃、みんな(M-1グランプリの)3回戦にも行ってなかったんですよ。我々(東京ダイナマイト)は今の相方と組んで2年目で決勝まで行けて。決勝では振るわなかったんですけど。ほんとに「1回戦で負けたようなヤツは切腹しろ」ぐらいに思ってました。また1回戦で負けたヤツが、俺らに偉そうにしてくるんですよ。
テリー ということは、たけし軍団なんかとはあんまり反りが合わなかったの?
二郎 いわゆる軍団の人たち、(ガダルカナル・)タカさんや(つまみ)枝豆さんとかは、かなり年齢も離れてるし、高校生と中学1年生ぐらいの感じで、すごく優しかったんですけど、他の人は嫉妬がすごかったです。
テリー あ、そうなんだ。
二郎 でも、吉本興業に移籍してみると、後輩に嫉妬なんかしてられないんですよ。どんどん新しいのが出てきて、バンバン追い抜かれるんで。自分の出番を確保するのに命かけないと。だから、たけし軍団はすごい男の軍団に見えて、女の軍団でした。
テリー そうか。じゃあ、吉本に移って正解だった?
二郎 雰囲気はいいです。バックヤードでは笑かし合って、舞台では誰がいちばんおもしろいか競うっていう。健全だと思います。でも、やっぱりデカくて、その中で残っていくのは大変ですね。