9月11日に東京・両国国技館で初日を迎える大相撲九月秋場所。
7月に宮城野部屋を継承した元横綱・白鵬が、13代宮城野親方として初の本場所に臨む。注目されるのは宮城野部屋所属の19人の弟子たちだ。とくに七月場所に勝ち越した十両の炎鵬と北青鵬、そして、この秋場所で新弟子検査に合格すれば「幕下15枚目格付け出し」としてデビューする、2021年の学生横綱・川副圭太らに期待が高まる。
そんな弟子たちを率いる宮城野親方=白鵬の自伝漫画を連載中なのが「週刊アサヒ芸能」だ。発売中の9月15日号では、史上最多の勝ち星に挑む白鵬が描かれている。
それは、2016年一月初場所5日目の朝稽古の時だった…。
記者から思いがけない質問が飛んだのだ。
「横綱ちょっといいですか。今日勝てば、通算勝利数951勝となって、史上4位の元横綱・北の湖関に並ぶことになりますが…」
その問いかけに白鵬は、「一番一番の積み重ねへの相撲の神様からのご褒美」と答えるにとどまった。大鵬の優勝回数記録を超えて、目標喪失の只中にあった白鵬にとって、北の湖の通算勝利数は心の空白を埋めるには足りなかった。
しかし、「次は1000勝」の言葉を聞いた瞬間、白鵬は奮い立つ。その「イッセンショウ」という響きが白鵬の心を捉えたのだ。史上2人しか達成していない大台。1位が元大関・魁皇の1047勝。2位は元横綱・千代の富士の1045勝である。
「よし、これだ」白鵬が不敵に微笑む。
新たな目標が定まり、本場所に臨む白鵬だった。