「物言う株主」として、たびたび世論を賑わせてきた投資家、村上世彰氏。その村上氏の次女、村上玲氏が、女性政治家育成のために政治塾「村上財団パブリックリーダー塾」の立ち上げを表明したことが、永田町界隈で大きな話題となっている。
玲氏は現在、父親が設立した村上財団の代表理事を務めているが、8月上旬に記者会見を開いた際、この政治塾についておおよそ以下のような説明をしている。
「世界経済フォーラム(WEF)によれば、日本の男女格差を示す『ジェンダーギャップ指数』は146カ国中116位と、先進国の中で最低レベル。順位を下げているのは、特に女性政治家の少なさに原因がある。ジェンダーギャップは女性の人権問題であると同時に、その解決は様々な社会課題解決、経済発展につながる。女性政治家を育てることは、ひいては日本の社会のためになる」
塾に応募できる条件は、「将来的に政治家を志す10代から30代の女性」。11月から来年3月まで「社会問題」「リーダーシップ」「行政機構・選挙戦略」などをテーマとした9回の講義を受け、その講師役には自民党の野田聖子氏や立憲民主党の辻元清美氏らが参加予定だという。また「政治思想や、支持政党、国政・地方政治の別は問わない」としており、受講生にはキャリア形成に向けた教育費などに使用できる100万円を支給するとしている。
自民党関係者は、その太っ腹に驚きながら、
「これまで『政治塾』といえば、橋下徹元大阪市長や小池百合子都知事が主催したものがありましたが、いずれも参加費用を徴収する形でした。それが今回は逆に100万円も支給されるというから、さすが村上さんの塾だと思いましたよ。参加者は一応、来春の統一地方選挙を一つの目標にしているとのことですが、単に女性政治家育成だけが狙いなのかと勘ぐってしまいますね」
一方、霞が関関係者はこう期待を寄せている。
「村上さんのところは親子揃ってやることに卒がない。おそらく今の自民党政治や周辺の政党事情を見るにつけ、このままでは日本が潰れるという危機感を持ったのでは。当面、女性政治家育成という形はとるが、ゆくゆくは自民党に代わる『新自民党』のような新党を創るとの見方もあります。また玲さんは吉村洋文府知事や小池百合子都知事とも面識があるとも言われているだけに、連携によるダイナミックな政治展開も予想される。いずれにせよ、来春に向け村上塾がどう大化けするか楽しみです」
玲氏は慶応大卒業後、三菱グループの関連企業を経てハーバード大学の公共政策大学院で学んでいるが、まだ政治経験はない。それだけに今後、誰と接近を図るのか注目だ。
(田村建光)