小池知事が直面する大きな問題は豊洲新市場の安全性や設計変更の隠蔽問題。そして、東京五輪の施設見直しだ。特に、豊洲については、設計変更が「いつ、誰の指示で、何のために」行われたのか、都庁職員への「自己検証報告」では明らかにできなかった。
このため、今後は設計変更がなされた石原慎太郎都知事時代の都庁幹部や、石原氏本人からの聞き取り調査が焦点となってくる。小池知事周辺からは「11月中には設計変更が誰の指示のもと行われたかを解き明かしたい」との声が聞かれる。
「豊洲の問題は、ある意味パンドラの箱のような部分もあって、いろんなことが複雑に絡み合っています。
小池さんはパンドラの箱をこじあけて解決しようとしていますが、複雑な問題だけに、多くの苦労があると思います。個人的には、問題解決のためには『安心安全』という軸足をしっかりと定めて、ブレずにコトを進めることが大事だろうと思います。多くの人が関わり、複合的な事情もあり、現在は『安全面』とは関係がない事柄もないまぜになって論じられています。
でも、現実には豊洲新市場という建物は出来上がっているのですから、『安全面』をしっかり据えること。それはモニタリング調査や科学的な評価など、必要なことをやっていくというのが先決だと思います」
── 一つ一つ問題を解決していかなくてはならないということですね。ところで、小池知事の頭の中には「国政へのリベンジ」があるとは思いませんか? かつて石原知事も舛添要一知事も皆、国政で果たせなかったことを都知事になってかなえようとした。つまり、東京から国を変えるという。
「僕の補欠選挙に向けてのチラシを見てください。『東京大改革、そして国政改革』と書いてあるでしょう。おっしゃるとおりで、街づくりや環境政策、待機児童解消、そして働き方の改革など、あらゆることを東京で実現できれば、それがモデルケースとなって、地方も変わっていく。
実は、小池知事誕生のあかつきには、僕は副知事になって力を尽くそうと思っていました。副知事として、都政を変える自信もありました。でも、恐らく都議会では承認もされないだろうと。ならば、国会議員として、小池さんと一緒になって何かやれることがあるのではと考えました。
小池さんが都政で進めたことを、僕は国会議員として連携して、国政だけでなく、その先にある地方へとリンクさせていく、そのパイプ役になれるのではないかと思ったわけです」
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若狭勝(わかさまさる)=1956年生まれ。80年中央大学卒業。同年司法試験に合格し、検事となる。東京地検特捜部副部長などを歴任し、09年に弁護士登録。14年の衆議院選挙で当選を果たす。
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ジャーナリスト:鈴木哲夫