1979年に誕生した鈴木俊一都政から続く都議会での自公連携を解消してまで、公明党が小池氏と手を組んだのには理由があった。
「国政選挙並みに都議選に力を入れ、過去6回連続で候補者を全員当選させています。しかし、7月の都議選については『2~7議席落とす』という厳しい調査結果が出たんです」(公明党関係者)
小池陣営にとっても組織力のある公明党を味方にすることはプラスということで、利害が一致したようだ。
反対に「不要」と判断されたのは、民進党である。都議会の民進系2会派は2月中旬に合流して、新会派「東京改革議員団」を結成。小池氏のキャッチフレーズである「東京大改革」に臆面もなくすり寄り、自民党との対決姿勢を強めた。しかし当の小池氏は協力について、
「まったく考えていない」
と、にべもない。しかも、民進党の公認予定者だった元都議3人が「都民ファーストの会」に“移籍”した。
「3月12日に党大会を開いたのですが、公認候補予定のうち数人は、同じ時間に開催された小池氏の『都議選対策講座』に出席しました。蓮舫代表(49)の人望が試されますが、選挙態勢は全然整っていません。1桁議席もありえます」(民進党関係者)
自民党も都議選に向けて動きだした。3月14日午後、安倍晋三総理(62)が待つ官邸を、二階俊博幹事長(78)と自民党東京都連の下村博文会長(62)が訪れた。会談で安倍総理は、
「公明党抜きで勝負するいい機会であり、党をあげてしっかりやってほしい」
と挙党態勢で臨むことを確認。会談後、記者団の取材に応じた二階氏は、
「自民党の選挙といえば公明党頼りのようにみんなが言う。今までにない選挙をやる」
と意気込んだ。公明党の離反だけではなく、自民党の現職都議2人が離党して「親小池」を表明するなど、厳しい戦いが予想されるが、自民党も本気モードに突入したようだ。
「これまでは小池氏と融和路線でしたが、これ以上、やりたい放題されると次期衆院選にも影響が出るので、官邸サイドから小池氏と戦うように指示が出たそうです」(政治部記者)
自民党上層部の怒りは、「都民ファーストの会」が国政の課題などを勉強する「国政研究会」の設立に動きだしたことにも一因があった。衆院選での国政進出への布石とも見られ、知事就任後も自民党籍のままの小池氏に対して、10日の記者会見で二階氏は、
「急いで『反党行為だ』と騒ぎたてることもないが、目に余ることが続けば、党として毅然たる方向を打ち出さなければいけない」
と強い口調で牽制するのだった。