タケカワユキヒデ、ミッキー吉野らによる「ゴダイゴ」と聞いて思い浮かべるのは(世代にもよるが)まず、「モンキー・マジック」「ガンダーラ」ではなかろうか。
彼らがデビューした当時の日本は、歌謡曲全盛時代。初期のゴダイゴはCMソングやテレビ、映画音楽の仕事がメインだった。業界ではクリエーターたちから一目置かれる存在だったものの、音楽番組への出演などなかったのである。
そんな彼らに、ビッグチャンスが訪れる。それが夏目雅子主演で、堺正章や西田敏行らが出演するテレビドラマ「西遊記」(日本テレビ系)だった。78年に出たそのサントラ盤「西遊記(マジック・モンキー)」は、彼らにとって通算3枚目のアルバムとなる。
この演奏、実は難解でマニアックなことをやりながら、心地いい世界へと誘い、小学生にも愛される存在に。ロックバンドとしては、とんでもないセールスを記録することになるのである。
「西遊記」のテーマ曲となった「ザ・バース・オブ・ジ・オデッセイ~モンキー・マジック」と「ガンダーラ(英語バージョン)」はシングルカットされ、前者(「モンキー・マジック」のみ)が56万枚、後者は89万枚というビッグセールスとなった。
オリコンの週間アルバム・チャート1位を獲得しただけでなく、なんと79年の年間アルバムチャートで1位になるという快挙も達成。ゴダイゴは国民的バンドとして、その名を知らしめていくことになる。
その後、ゴダイゴは日本を飛び出し、アメリカや中国でもコンサートを開催するなど、精力的な活動を続けるが、ベースのスティーヴ・フォックスが脱退後、ソロ活動が目立ち始める。そして85年春、10年間にわたる活動に終止符が打たれた。
日本のロックを「お茶の間」に持ち込んだバンド。それがゴダイゴだったのである。
(山川敦司)
1962年生まれ。テレビ制作会社を経て「女性自身」記者に。その後「週刊女性」「女性セブン」記者を経てフリーランスに。芸能、事件、皇室等、これまで8000以上の記者会見を取材した。「東方神起の涙」「ユノの流儀」(共にイースト・プレス)「幸せのきずな」(リーブル出版)ほか、著書多数。