巨人が今オフ、FA制度の掟破りともいえる補強に乗り出す可能性が浮上した。在京スポーツ紙遊軍記者は、巨人の補強ポイントを次のように指摘する。
「全部といえば全部ですが、特に計算できる先発投手と捕手は、喉から手が出るほど欲しいと思います。今年は楽天・浅村栄斗や西武の森友哉などがFA宣言しそうな雰囲気ですが、阪神から西勇輝、梅野隆太郎の2選手の獲得も視野に入れているでしょうね」
西勇はオリックス時代の18年オフに、国内FA権を行使。年俸2億円の4年契約で阪神に移籍したが、今年8月29日には、海外FA権を取得した。もちろん、来季以降も契約を結び直し、阪神でのプレーを選択する可能性は十分にある。
だが西勇は「これまで頑張ってきた積み重ね。そういう意味でも(2度目のFA権が)取れてよかったなと思います」と話すにとどまっており、今のところ阪神残留を明言していない。
西勇の今季成績は9勝8敗、防御率2.09と安定している(9月15日時点)。来季以降、契約を更新するならば、現状維持の2億円は最低条件であり、大幅アップを要求してくるかもしれない。
だが、青柳が昨季、今季とエースらしい活躍をし、伊藤将司も成長。長らく低迷していた藤浪晋太郎も、ここ何試合かは、完全復活を予感させる投球内容を披露している。才木浩人、西純矢に加え、今年のドラフト1位・森木大智の成長も見込める。2ケタ勝利は見込めるが、同時に負け数が多い西勇との条件が合わない可能性も十分にある。
一方、昨オフFA権を行使せず、チームに残留した梅野は、今季の起用法に不満を持っている。来季、阪神は新体制になることは決まっている。だが、新監督の方針によっては、さらに出番が減る可能性もある。FA宣言して、他球団の評価を聞く道を選ぶかもしれないのだ。
巨人の補強スタイルもある。スポーツ紙デスクは、
「巨人はこれまでFAを使って、セ・リーグのライバル球団の選手を多数、補強してきた。活躍すれば御の字。ダメでも相手の戦力ダウンになるし、そのチームの情報も手に入る。阪神からバッテリーごと引き抜くメリットは大きいですよ」
これまで巨人はFAで、12球団最多の28人を獲得してきた。だが、さすがに伝統の一戦の相手・阪神からの獲得はゼロだ。
とはいえ、今の巨人はなりふり構っていられる状況にはない。甲子園球場での怒号覚悟で、掟破りのFA補強に乗り出すかもしれないのだ。
(阿部勝彦)