3月28日の開幕戦まで残りわずか。しかも阪神の相手は宿敵である巨人。ファンの中にはこの戦いを心待ちにしている方も多いのではないでしょうか。
ただ、そんな気持ちとは裏腹に、阪神の主力陣の調子がガタガタです。オープン戦ではまさかの7連敗。初勝利は3月11日の9戦目にして、ようやくあげられました。
3月10日に伊勢市で行われた65年ぶりの阪神対巨人戦では、9回裏まで6対3で阪神リードのスコアながら、5番手で登板した山本翔也がドラ1で巨人に入団したばかりの小林誠司からまさかの満塁打を浴び、逆転負けを喫しました。
オープン戦の得点もここ10試合で26得点。1試合平均2.6点と、3点を大きく下回る数字です。さらに失点数は1試合平均4.5点。打撃だけではなく、投手陣のふんばりも利かない試合内容ばかりが続いてしまっているのです。
もちろん、オープン戦では勝敗よりも内容にこだわる試合も必要です。しかし、9日、10日の巨人との2連戦に限っては、連敗の軌道修正の意味でも勝負にこだわらなければいけない試合でした。阪神は昨年後半からの負けグセを引きずっている状態。「何をやっても勝てない」と選手たちが思い込んでしまうような空気感さえ漂わせるチームになってしまっているのです。
では、どうして阪神はこれほどオープン戦に勝てないのか。これはベテラン勢の不発に原因があります。
現にエースの能見篤史は3月9日という開幕の迫ったタイミングで二軍の教育リーグに登板するなど、明らかに本調子ではありません。主力の一人である福留孝介も、出場した8試合での成績は20打数3安打。さらにキャプテンの鳥谷敬は今年もエンジンのかかりが非常に遅い。彼はキャプテンという立場を考えれば、今すぐにでも覚醒しなければいけないはず。この仕上がりの遅さのせいで、チーム全体の士気が下がってしまっているのは確かです。
しかし、何よりも打線の障害となっているのがゴメスです。現在の阪神の打順は、とにかく4番ゴメスという流れを念頭に置いて組んでいるもの。いわばゴメス仕様の布陣となっているわけです。にもかかわらず肝心のゴメスは右膝痛でオープン戦に出遅れる始末。当然、得点を入れる役目のゴメスがいなければスコアも稼げません。結果として、今の阪神は、出場している選手がいくらヒットを打っても得点に結び付かないような攻撃方法になってしまっているのです。
そんなゴメスは今、試合には出場せず、フリー打撃で調整を行っている最中。私も3月10日に鳴尾浜で彼のフリー打撃を視察しましたが、スイングを見るかぎり仕上がりは上々。右膝の張りの影響も感じさせない動きだったのは、せめてもの救いでした。
反対に、彼の心配な面も見つかりました。外に逃げる外角のスライダーの見極めです。メジャーのストライクゾーンに慣れてしまっている選手だけに、日本ではボールである外のスライダーを反射的に振ってしまう危うさを秘めています。
外のボール球に対する適応性を測るのは、あくまで実戦しかない。彼が試合でどれほどの結果を出せるかを、我々もしっかり見極めなければいけません。