テリー 矢野さんは経歴を見るとほんとに優秀で。横浜国大を卒業して、大学院まで行ってるんだね。
矢野 でも、別に勉強がしたかったわけじゃなくて、大学の教授に「大学院に行ったら家賃1万5000円で駐車場付きのところに住まわせてやる」って言われたから行っただけなんですよ。
テリー なんでそんなこと言われるの?
矢野 その教授的には僕を後々、教授にさせたかったみたいです。
テリー だから、そこがすごいじゃない。教授にさせるぐらい優秀だったっていうことでしょう。大学では何を専攻してたの?
矢野 教育学部で「教育心理」っていうゼミに入ってました。
テリー 教育心理って?
矢野 僕もよくわからないです(笑)。「子供の時にこういう運動をしておくといいよね」とか「大人から教えてもらった遊びのほうが子供同士で教え合う遊びより社会的なスキルが身に付くよね」とか、そういう研究をしていて。でも、「安いところに住める」っていう気持ちで行ってたからか、あんまり興味がなかったですね。
テリー 芸人には大学院を卒業してからなったの?
矢野 いや、そもそもは父親が警察官で厳しくて。「お笑いをやるために東京へ行きたい」って言ったら「ダメだ。大学に行くなら東京へ行っていい」って言われたんですよ。だから、僕は芸人をやるために大学に入って。大学時代から芸人をやってました。
テリー さっき「ラーメンズが好き」って言ってたけど、なんでそんなにお笑いをやりたかったの?
矢野 父親が捜査1課の刑事だったんですよ。
テリー ええっ、そうなの? すごいね。
矢野 で、殺人事件とかを捜査してるから、3日に一度は家に帰って来ないような生活で、いつもすごく疲れてて、「こうはなりたくないな」と思ってたんですよ。で、たまたまテレビでラーメンズを見たら「ちょっと頭良さそうだな」とか「格好いいな」と。
テリー 衝撃だったんだ。
矢野 僕、香川県出身なんで「吉本新喜劇」もよく見てたんですけど、そういうコテコテの笑いより、こういうのだったらやりたいなと思いましたね。
テリー それで?
矢野 大学院に行きながら、23、4歳の時に「ガリベンズ」を組んで。36ぐらいの時に解散しました。
テリー その13年ぐらいってお笑いの収入は?
矢野 ほとんどなかったですね。だから、ずっとバイトしていて。
テリー どんな?
矢野 いろんなバイトをしましたけど、最後のほうは、専門学校で「音楽ビジネスマネージメント」を教えてました。今もやってるんですけど。
テリー 音楽ビジネスマネージメントって何を教えるの?
矢野 僕もわからないんですけど(笑)。もともとは「メディア業界基礎知識」っていう授業で、ADさんや音響さん、照明さんとかを目指す学生さんに教えてたんですよ。
テリー 将来、テレビやイベントにかかわりたい人だ。
矢野 ええ。そういう子たちに「現場の話をしてくれ」って言われて。あとはシンクタンクのバイトもしてますし。
テリー シンクタンク!? そんなバイトがあるの?
矢野 そうなんですよ。これ、あんまり詳しく話せないんですけど、いろいろ偉い人たちが集まる場に行ったりしてます。
テリー そうなんだ。ほんとに優秀だなぁ。
矢野 バイトですけどね(苦笑)。社員並みの仕事をバイトの時給でやってるんです。