テリー これからお笑いの世界はどうなっていきそう?
二郎 うちの娘は小さい時から劇場に行ったりして、テレビに出てるお笑いの人はちゃんと認識してるんですけど、YouTubeのおもしろい人も同列になっていて。子供たちにとっては、ユーチューバーとか芸人とか、その境目がなくなってると思いますね。
テリー それは芸人さんにとってやりにくいこと?
二郎 というより、おもしろいヤツはみんなYouTubeとかラッパーのほうに行っちゃって、お笑いの世界に入ってこなくなるんじゃないかって、俺はちょっと心配してます。吉本が「ハイスクールマンザイ」っていう高校生の漫才大会を主催していて、こっちは18歳の時のとんねるずみたいな高校生を見たいんですけど、みんなテレビで漫才を見て勉強してるから、ちゃんと型はできるんですよね。
テリー お笑いの優等生みたいなね。
二郎 でも、ラップのフリースタイルバトルとかを見ると、そっちにおもしろそうな高校生がいたりするんですよね。だから、お笑いをもっと格好よくしなきゃいけないなと思ってます。僕らがたけしさんやとんねるず、ダウンタウンを見て「格好いいな」と思ったようにしないと。
テリー 格好いい芸人っていうのは?
二郎 たけしさんが「ひな壇に出るな」って言ったのは、要は司会者が現場監督で、その現場監督の前でヘルメットかぶってヘコヘコするようなところを見せるなっていうことみたいなんですけど、そのヘコヘコが増えすぎたかなと。そこに憧れる子供がいるのかなって思うんですよ。本来なら芸人って、いちばん怒られなきゃいけないわけで。だけど今、特に吉本興業はいちばん真面目にやりなさいっていうような風潮になってしまってるので。それじゃあ、芸人に憧れる子供なんかいなくなっちゃうと思うんですよね。
テリー なんか、みんなIQ高そうだもんね。
二郎 IQなんて高くても低く見せるのが芸人だろうと思いますよね。
テリー そうだね。最近は芸人さんが政治を語るみたいな新しいジャンルもできちゃってるし。
二郎 政治家になっちゃった先輩芸人もいるんで、何とも言えないですけどね。
テリー 水道橋博士は、あれはあれでおもしろいと思うけどね。
二郎 でも、政治を語る人って、なんでみんなケンカするのかなと思うんですよ。ツイッターとかで反論されると、すぐケンカするじゃないですか。芸人だったら笑わせていかないと。
テリー それは、その通りだね。俺も芸人さんには常におもしろいことを言ってほしいと思ってますよ。だからハチミツさんには期待したいな。最近では珍しい昔気質の芸人さんだから。
二郎 この2年はコロナでやれてないんですけど、僕ら単独ライブをやる時に、いつもラストのキャッチフレーズがあるんですよ。「行こうぜ、コンプライアンスの向こうへ」って。常にそうありたいです。やっぱりはみ出したいです。
テリー 次の単独ライブはいつになるの?
二郎 毎年4月30日にやってたんで、来年のその日にできればと。ネタは2年分たまってるので。早くやらないと使えないネタも出てくるので。
テリー 旬があるネタもあるからね。
二郎 あります、あります。やっぱり今、号泣議員のネタをやってもみんな忘れてるじゃないですか。どんどんサイクルが早くなってますよね。
◆テリーからひと言
なんか話を聞いてると、昔気質のサムライみたいな芸人だよね。もっともっと暴れて、「コンプライアンスの向こう」を目指してください。