楽しいはずのハロウィンで150人以上の死者を出した、韓国ソウル市の「梨泰院」圧死事故。ワイドショーは連日、警備の甘さを指摘しているが、視聴者はワイドショーの「厚顔ぶり」を忘れてはいない。全国紙社会部記者が言う。
「今年8月11日、京都府亀岡市で3年ぶりに開かれた『亀岡平和祭保津川市民花火大会』の終了後、最寄り駅のJR亀岡駅に観客が押し寄せ、梨泰院のような、あわや大惨事という混乱が起きました。花火大会の実行委員会は10万人以上の観客を想定し、地元警備会社の社長ら有志ボランティア300人以上が、当日の警備を買って出た。その際、ボランティア警備員やJR職員の指示を聞かない群衆に対して発せられた怒声の模様がSNSで拡散、大炎上しました。民放各局や一部ニュースサイトでは『SNSで批判されている』と取り上げ、ボランティア警備員がテレビやインターネットを通じて『公開処刑』されたのです」
その後に放映された「めざまし8」(フジテレビ系)では、SNSに批判が集まっていることを報じ、永島優美アナが「事前にもう少し、対策できたのでは」と言及した。「J-CASTニュース」も8月12日に企業名を出して、ボランティア警備員を直撃の上、謝罪させている。前出の社会部記者は、
「その場に居合わせたJR職員や実行委員会の人たちは、200人近くが死傷した01年の『明石花火大会歩道橋事故』が頭をよぎったといいます。実際、動画で拡散された、警備員が群衆に対し立ち止まるよう制止していた場所には、階段があった。小さな子供が泣き出す中、マナーの悪い大人が怒鳴ったり、後ろから押すなど、いつ群衆雪崩が起きてもおかしくなかったと聞きました。フジテレビもネットニュースも、地元支局のカメラマンや記者、亀岡市に当時の状況を問い合わせれば、有志ボランティアを個人攻撃するような、偏った内容にならなかったのでは。来年以降、ボランティアが集まらなかったり、子供たちが楽しみにしている花火大会が中止にならなければいいのですが」
この時の「めざまし8」では、空気を読まないコメンテーターの橋下徹弁護士が、元大阪府知事の立場から明石市の事故を引き合いに出して「現場は騒然としていたと聞きますから、この行動はやむを得ないんじゃないですか。ネットで批判は出ていても、後追いで(言動の正当性を)伝えてあげなきゃ」と、番組内の批判ムードを一蹴し、ボランティア警備員を擁護した。
「めざまし8」や「J-CASTニュース」は、シレッと梨泰院の事故を報じる前に、大惨事を防いだ亀岡市のボランティア諸氏に対し、非礼を詫びるべきではなかったか。