11月3日、祭日の早朝に突如鳴り響いた「全国瞬時警報システム(Jアラート)」に驚いた人も多いだろう。
Jアラートの第一報が発動されたのは、午前7時50分。宮城県、山形県、新潟県を対象に避難が呼びかけられ、テレビやラジオ放送は一斉に北朝鮮からミサイルが発射されたことを報道。しかし政府はその後、情報を訂正するなど混乱を招く事態となった。その顛末を振り返るのは、軍事ライターだ。
「実際に大陸間弾道ミサイル(ICBM)の可能性があるミサイルが発射されたのが、午前7時39分ごろ。その約1時間後の午前8時39分ごろと48分ごろ、立て続けに2発が発射され、計3発が発射されたとみられています。Jアラートは発射されたミサイルが日本の領土・領海に落下、もしくは通過する可能性がある場合に発令されるわけですが、松野官房長官は『日本海の上空でレーダーから消失した』と訂正しました。8時台の2発は短距離弾だったのですが、問題は1発目。ICBMの場合は本来、高く打ち上げられることからJアラートの発令がない軌道にもかかわらず、これが反応したわけです」
結局、探知が全く別の飛翔体によるものだったのか、それともICBMから切り離されたものなのか、ミサイル打ち上げ失敗の可能性も含め、専門家が分析を進めているという。
「Jアラートは緊急情報を国民へ瞬時に伝達する有効なシステムと言えますが、発表される情報があまりにも曖昧だと、最終的には誰も気にしなくなる『オオカミ少年』状態になる恐れがあります。そもそもミサイルがいったい今、どこを飛んでいるのか全く分からないにもかかわらず『地面に伏せろ』と言われても、どうしていいか戸惑うのは当然の話。システムを改良するとともに、迎撃できる体制を作ることも重要でしょう」(前出・軍事ライター)
今年に入り30回目となった北朝鮮のミサイル発射。もし誤って日本に着弾となれば、Jアラートはどう国民を救うことになるのか。
(ケン高田)