社会

老舗駅弁メーカー「全国食中毒被害」でわかった「高温多湿の猛暑に海鮮弁当」の危険度

 秋の行楽シーズンに、なんとも衝撃的なニュースだ。青森県八戸市の老舗駅弁メーカー「吉田屋」の駅弁を食べた人が、相次いで体調不良を訴えた。地元保健所は9月20日、症状を訴えている人は1都23県295人にのぼり、食中毒の疑いがあるとして調査を続けていることを明らかにした。

 青森の海鮮をふんだんに使った駅弁や、北海道新幹線を模したお弁当箱に入った「北海道新幹線H5系はやぶさ弁当」が名物の吉田屋。3連休中の駅弁フェアで、東北から関西の百貨店で販売されていたことも、被害が拡大した原因だろう。

 下痢や嘔吐などの症状を訴えた人たちが食べていたのは「函館 うにの箱めし」「函館海宝煌めくイクラと大玉ほたて弁当」だという。幼児に人気の「H5系はやぶさ弁当」で体調不良者が今のところ出ていないことだけが、不幸中の幸いだ。

 今年は9月、10月になっても、家庭で作る弁当も油断できない。8月末には和歌山で弁当を食べた113人がサルモネラ菌による食中毒になり、80代男性が死亡したばかりだし…。

 食中毒を起こす原因菌はサルモネラ菌以外にもいくつかあるが、一般的に気温20度から活発になり、人間の体温に近くなる30度を超えると、食中毒菌は異常に増殖、毒性が増してくる。卵や肉類にはしっかり中まで火を入れ、殺菌処理済みの市販の自然解凍の冷凍食品や保冷剤を活用する、ご飯が傷まないように余分な水分を吸収してくれるカツオ節をご飯の上下に敷く、などの工夫が必要だ。

 長引く猛暑で体力、抵抗力は落ちている。百貨店の物産展や駅弁フェアに水を差すようだが、ナマモノが入った駅弁は、もう少し涼しくなってから楽しむのが無難だろう。

 今夏は9月19日に群馬県桐生市で最高気温が35.6度を記録し、1994年の大分県日田市の45日間を超えて、猛暑日の国内歴代最多記録を更新する異常気象。東北も例外ではなく、「吉田屋」がある青森県でも、9月1日に猛暑日に迫る気温34.1度を記録。3連休中の天気は雨のち晴、気温29.6度、28.5度、32.7度…と高温多湿の悪条件が揃っていた。

 吉田屋は2002年、東北の寝台列車「はくつる」の廃止と同時期に、経営者が代がわり。それまで駅弁に入っていた焼物や煮物が一掃され、海鮮や生モノが中心の弁当に変わってしまった。商品ラインナップや経営方針の転換時に辞めたベテラン従業員もいたという。

 昭和の駅弁の面影を残すのは、地元青森で今でも人気の紅鮭と、鯖を酢でがっつりシメた小唄寿司のみ。乗り鉄子の筆者は、北国ならではの塩気の効いた紅鮭や濃い味付けの煮物が好きだったのに、食べる頃には生ヌルくなったローストビーフやイクラ、ウニに変わってから、吉田屋の駅弁を手にとる機会がなくなってしまった。あの懐かしい濃い味付けは、明治・大正・昭和と、扇風機だけが回っていた寝台車でまる1日かけて上京する人たちの駅弁が傷まないようにする、先人の知恵だったのだろう。

(那須優子)

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