2戦目は、新馬戦のひと月後の11月23日、京都芝2000メートルで行われた京都2歳ステークスだった。前走は直線の長い外回りだったが、今度は内回り。コース形態が異なるここでも、スターダムは前をきっちり差し切った。
「1回使って状態がよくなっていました。伸びしろがあるし、まだ完成していないのにこれだけやれるのだから、クラシックで十分戦っていけるな、と」
年明け初戦となった3戦目は、2月9日のきさらぎ賞。舞台は新馬戦と同じ京都芝1800メートルだったが、それまでの2戦と違い、強力なライバルがいた。新馬戦で良血トゥザワールドを突き放し、2戦目のエリカ賞も逃げて圧勝したバンドワゴンである。
「確かにバンドワゴンはそれまで強い競馬をしていたけど、ここで負けるようじゃクラシックに行っても厳しいと思いました。もう2月ですから、勝って賞金を加算しないと間に合わないわけですしね」
大方の予想どおり逃げたバンドワゴンを、武・スターダムは直線で追い詰め、ゴールの瞬間、頭差かわして勝利を収めた。
「きっちり勝つのはさすがだな、強いな、という思いと、本当はもっと走るんじゃないか、という感覚の両方を感じました。楽にかわせそうな感じだったのに意外とてこずったでしょう。勝つには勝ったけど、もうワンパンチ欲しいな、と」
無傷の3連勝で重賞を制覇。並の馬にできることではない。が、3戦とも2着とのタイム差はゼロだった。勝ち切る強さがある一方で、ちぎる競馬のできる馬に比べると、不利を受けるなどのアクシデントがあった時にカバーできる範囲が小さい、ということになる。
レース後ほどなく、池江から、次は皐月賞に直行すると言われた。最大目標をダービーに据えていることを示すローテーションである。
◆聞き手・島田明宏(作家)
◆アサヒ芸能5/27発売(6/5号)より