横丁といえば、脇道にある小さい居酒屋や小料理屋が並ぶ通りを想像する人が多いだろう。それはあくまで昭和、平成の話であって、数年前からは「ネオ横丁」と呼ばれる複合飲食店施設が、若者の間でメジャーとなっている。
ひとつの建物の中に何軒もの居酒屋や飲食店が入居し、人工的に作られた「エモい」昭和感のある内装の横丁も。東京でいえば「渋谷横丁」や「新大久保横丁」などが人気である。
このネオ横丁は、コロナ前から全国的に増加。横丁では男女の出会いが期待できることから、一時は若者を中心に賑わいを見せていた。
だがここ最近、ネオ横丁の人気に陰りが出ているという。都内はともかく、少し地方に行くと人はまばらで、店はほとんど機能していないように見えるネオ横丁もある。地方のネオ横丁に以前、出店していたという居酒屋オーナーは、嘆くことしきりだ。
「コロナ蔓延による飲食店の休業要請があった時に、横丁の施設内では、要請を守る店と無視して営業を続ける店に分かれました。その結果、同じ施設とみなされてしまい、横丁全体で給付金をもらうことができなくなりました。そんないざこざがあって、撤退することにしたんです。今も別の横丁から出店の誘いを受けますが、もうこりごりですよ」
現在、その横丁には、休業要請を無視した飲食店だけが残っているという。また、別のネオ横丁の居酒屋に勤務する男性は、人気低迷の理由を次のように明かした。
「ネオ横丁にはせんべろプランを設けている飲み屋が多く、1000円で3杯飲めるというのも人気のひとつ。ただ、色々な店を回って3杯ずつ飲むので、かなり酔っ払う客がいます。泥酔者による喧嘩や嘔吐などの迷惑行為が増えたのも、客が減った一因ではないでしょうか。ネオ横丁は店ごとにトイレがないので、外部に設けたトイレを占領されてしまうと、横丁全体の客の迷惑になるんですよね」
安価で飲むことができるゆえの、泥酔客の増加。コロナの規制がなくなった今後、ネオ横丁の課題はますます増えることだろう。