日本フェンシング協会会長でタレント・武井壮が11月19日、任期満了で会長職を退任した。
会見で武井は、昨夏の東京五輪や世界選手権などで選手が過去最高の成績を残したことが、「すごく支えになりました」と感謝するなど、1年半の在任期間を振り返った。協会にあった課題、問題点を改善し、これまでのフェンシング界になかったものを「1、2個は残せた」と自負しているという。
また、退任については、「(24年のパリ五輪までの)大事な2年間、自分がやるべきなのか(他の人に)任せるべきか、判断は自分でした。ネガティブな理由での退任では決してない」と話した。
もっとも、競技関係者に言わせると「実に中途半端な退任劇だった」という。どういうことか。
「武井は、ロンドン五輪・男子フェンシング銀メダリストの太田雄貴から依願された形で会長に就任しましたが、今年6月には大醜聞に見舞われました。JOC(日本オリンピック委員会)の助成金が出る沖縄合宿に、エペの日本代表チームが私的な観光を含めて家族同伴で参加していたことを週刊誌にすっぱ抜かれたのです。しかし、情報番組で武井は一部を擁護する有り様で、詳細を聞かれるとしどろもどろになってしまった。広告塔として、また、自分自身にも箔が付くと思って安易に引き受けたものの、問題が噴出してしまい、思った以上に責任を背負ってしまったという状況だったのではないでしょうか。就任を後悔していたとも言われていましたね」
どのような退任理由を挙げようが、結局は武井が、協会会長という重責を担う器ではなかった、ということなのかもしれない。