「女子学生さんですよね。歓迎いたします。男子には内緒ですが、女子は基本的には応募=採用です。サンドイッチにコーヒーでも飲みながら、お話しましょう」
これはいやらしい動画の導入部でもなければ、ホステスの面接風景でもない。「セナ」という男子学生の名前を勝手に女子大生と勘違いした、帝京大学のセクシャルハラスメント暴発教授の返信メールの文面だ。
ゼミの追加募集に申し込んだ大学2年の男子学生が、性別を伏せてこの教授に会いに行ったところ、とんでもないセリフを吐いたのだ。それが、
「君が女だと思ったから送っただけ。女だったら優先的に取るつもり。あなたのこと女と誤認したのは僕のミスだけど、しょうがないよな、あんな名前なんだから」
というものだった。まさに逆ギレである。
男子学生が暴言を吐かれた録音音声をTwitter上で公開したところ、またたく間に大炎上。帝京大学は11月24日に内部調査委員会を立ち上げたと発表し、当該教授のゼミ生募集も中止したという。
…と、ここまではNHKや民放のニュースでも報じられたが、この話にはアキレた続きがあった。あまりにも恥ずかしすぎる、ハラスメント教授が繰り広げたゼミの授業内容だ。他の私立大学の経済学部教授が吐き捨てる。
「今どき、こんな教授がいることも驚きですが、さらに驚いたのはゼミの『教科書』でした。テレビ東京編集、日経新聞出版から発売されている『池上彰のやさしい経済学』だというんです。池上さんの著作は経済の仕組みをわかりやすく説明しているいい本ではありますが、池上さんがNHK勤務時代に『週刊こどもニュース』で解説していた内容がベースです。小学生、中学生が読むレベルの本を、女子学生をはべらせ、コーヒーとサンドイッチをつまみながらドヤ顔で解説していたかと思うと、こっちが恥ずかしくなります」
恥ずかしい授業はこの教授に限ったことではないと、この教授が続けて明かす。
「中学レベルの数学を学び直す、日経新聞を読んで質疑応答…という目を疑うような授業をしている大学は、他にもある。計算ができない、新聞が読めないと経済がわからない、というのが理由ですが、大学3年生の授業のレベルではありません。さらにこの2年ほど、コロナで学生生活が制限された学生のために、ゼミの活動内容を就職活動やTOEIC受験の個別指導に振り切った教授もいます。コロナの影響で教授の個別指導を断れない性ハラ被害は、かえって増えているかもしれません」
受験生が志望校を決めるシーズンに暴露されたハラスメント事件。受験生とその親が納得するような調査と処分が待たれる。