寒さも深まるこれからの時期は、体の冷えからくる腹痛に要注意だ。
腹痛と侮ってはいけない。ひどい場合には下痢を伴うケースや、便秘気味になりお腹にガスが溜まってしまう症状も見られる。
冷えからくる腹痛のメカニズムを紹介しよう。寒さにより体が冷えると、血行が悪くなり、体の機能も停滞してしまう。胃腸への血流も滞り、胃腸の働きは鈍くなり、食事が未消化のまま腸へ送り出してしまい腹痛に陥るのだ。
自律神経も関与している。腹部が冷えることで、自律神経が刺激を受け、腸が過剰に収縮してしまい、水分の吸収が不十分のまま排泄され下痢となってしまうからだ。
対処法は、まず体を温めることに尽きる。カイロを使い、腹痛の部分を中心に、腹部と腰回りを温めることがポイントだ。風呂では、湯船に浸かることで、体の代謝を上げることも必要だろう。
食事で体を内側から温めることも有効だ。根菜や豆類、温かいハーブティーやルイボスティーなどのノンカフェインがいいだろう。しかし、中には体を冷やしてしまう性質を持っているものもあるため、注意が必要だ。
特に、ホットコーヒーや緑茶、ホットミルクは、体を温めると思われがちだが、実は冷やしやすいため、体の冷えに悩まされている人は控えたほうがいいだろう。
特に緊急の場合でなければ、下痢止めではなく、整腸薬を飲むほうが有効だ。下痢症状は、消化できなかったものやウイルスを排出する役割があるので、薬で無理に止めずに、不要なものは出し切ってしまったほうが回復も早い。
ただし、あまりにも痛みがひどい場合は「過敏性腸症候群」の可能性があるため、早めに医療機関を受診しよう。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。