「歴史的なニアミス」になったのではないだろうか。
12月5日(現地時間)、来年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)を戦う侍ジャパンの栗山英樹監督と、エンゼルスのフィル・ネビン監督が大リーグのウインターミーティングの会場ですれ違い、大谷翔平選手の起用法について語り合った。
「侍ジャパンのスタッフ数人がまとまって会場内を移動していました。ネビン監督がそれを見つけ、自ら歩み寄っていきました」(現地関係者)
両者の話題は当然、大谷翔平のこと。ネビン監督はWBCでの二刀流起用に改めてゴーサインを出し、栗山監督らにエールを送ったという。会話は全て英語、栗山監督は握手と挨拶を交わした後、一歩引いてスタッフとネビン監督が話すのを聞いていたそうだ。しかし、
「大谷の体のことは誰よりも信じているし、思う通りにプレーさせてほしい」
というネビン監督の言葉を伝えられ、改めてお礼の言葉を返したそうだ。
かつてネビン監督は、米メディアに質問を受けた際も「ショートでも、センターでも!」と、大谷の野手出場すらOKだと答えていた。野手は大袈裟だとしても、ネビン監督が大谷のタフネスさを信じているのは間違いない。
「過去、WBCに出場した選手がシーズン中に故障したケースは少なくありません。球団を指揮する監督にすれば、WBC参加はむしろ避けたいところですが。本当に大谷のことを信頼しているんだと思います」(在米ジャーナリスト)
また、ネビン監督はウインターミーティング中に「エンゼルスの来季展望」として先発6人制、つまり大谷を中5日で起用するプランを米メディアに語っていたそうだ。
「規定投球回数に到達させるため、シーズン終盤にイニング数を数えながら大谷を投げさせるのは避けたいとも話していました」(前出・在米ジャーナリスト)
つまり、WBCに出場した23年シーズンも、大谷は「規定打席&イニング数のダブル到達」を狙わせるというわけだ。
ネビン監督は大学生だった1992年、バルセロナ五輪の野球競技に出場している。全試合、スタメン三塁手としてアメリカ代表チームに貢献し、日本代表とも対戦している。そして、「国の代表として試合に出る誇り」も知っているという。
エンゼルスからは大量12人の選手、スタッフがWBCに参加する。WBCのキーワードが「エンゼルス」となりそうだ。もしも、大谷が大会MVPに選ばれるとしたら、今回のニアミスが寄与したということになるだろう。
(飯山満/スポーツライター)