2月3日、侍ジャパン・小久保裕紀監督(45)は、大谷翔平(22)について「投手として」ばかりか「WBC不参加」を明らかにした。大舞台での登板を回避せざるをえなかった右足首負傷の影響は想像以上に波紋を広げている。
発端は、昨年の日本シリーズ第4戦だった。3番・DHで出場した大谷は、遊ゴロで一塁を駆け抜けた際に右足首をひねってしまう。
「当の大谷も『もともと(足首が)緩いから大丈夫です』と負傷を軽視していたのですが、間の悪いことに11月の侍ジャパン強化試合でも同じ個所を痛めてしまった。12月中は足首の状態を考慮した球団から、『投球禁止令』が出されたと聞いています」(スポーツ紙デスク)
各球団にとって、WBCへの選手派遣は、その後のシーズンを考えれば慎重にならざるをえない。
「日本ハムは、アリゾナキャンプ前日までに全力疾走できるまで足首を回復させることを大谷に課しました。しかし、蓋を開けてみたら、それをクリアできなかった。球団側には、采配が拙い小久保監督に対して『先発、抑えと酷使されるのでは』という不信感もあり、栗山英樹監督(55)から大谷に辞退するよう説得があったようです」(前出・スポーツ紙記者)
当初は野手として出場の可能性を探るとも言われていたが、走れないのであれば、起用法は限られる。結局、世界を舞台にしての勝負から降りた大谷は、自チームの開幕戦を目指して調整することになった。
「3月31日の開幕戦で当たる西武からは早くも、『(辞退したのに)開幕には投げられないだろう』と、牽制するような声も上がっていますが、故障の具合は手術が視野に入るほど不透明で、深刻な状況も想定されます。それだけに、目の前のシーズンばかりか、今オフにも実現すると言われてきたメジャー挑戦にも大きな影響を与えるでしょう」(球界関係者)
3月7日からのWBC東京ラウンドには、当初からメジャー関係者が視察のために大挙来日する予定だった。ところが注目の大谷は欠場。故障が公になった以上、メジャー球団から足元を見られることも覚悟しなければならないのだ。
「メジャーは現在、高校時代から登板過多でパンクの危険性と隣り合わせの日本人投手と契約する際、“健康ボーナス”に重きを置いており、無条件では大金を与えない、リスクの少ない契約を望みます。昨年、身体検査でリスクが発覚してベースの年俸を抑えられた前田健太(28)は、そのイニング数や投球数などを順調にクリアしたので最終的に約12億円の年俸を手にしたから、まだよかった。一方、みずから故障を公表して、メジャーサイドに交渉で優位性を与えてしまった大谷は、さらに買い叩かれてしまう可能性があります」(メジャー関係者)
さらにドミノ式の悲劇として「二刀流終焉の危機」までが叫ばれている。
「現在の大谷は、全力疾走はおろか、セットポジションで片足立ちになると、投手の生命線・軸足に痛みが走るというデリケートな状態です。致命傷になる前に長期休養で完治させることは可能だと思いますが、エースにそれが許されるでしょうか。だましだましやっていく場合、いちばん怖いのは、下半身をかばうあまり、肩、肘に影響を与えること。故障に至らずとも、もとのバランスに戻れず、ピッチングフォームを崩すケースもあります」(前出・球界関係者)
過去にも松坂大輔(36)や黒木知宏氏(43)=現日本ハムコーチ=ら、下半身の故障を起点に、最終的には肩や肘を壊しているエースは数多い。大谷が165キロの剛速球を取り戻すには、万全なケアが必要となってくるだろう。スポーツライターの美山和也氏が語る。
「大谷はもともと小さな違和感でも気にするタイプ。昨季は指のマメをつぶしただけでローテーションを2カ月間外したくらいですから、今回も大事に至らないことを願いたいものです」
皮肉にも、WBCが明けたあと、内外から大谷の投球に注目が集まることになる‥‥。