サッカー日本代表DFでキャプテン・吉田麻也が12月10日放送の「Going!Sports&News」(日本テレビ系)に出演し、自らの「ブラボーな振る舞い」をアピールした。
カタールW杯での激闘を終えた吉田に対し、番組MCのくりぃむしちゅー・上田晋也が自己採点を求めると「うわぁ、難しい」と考えながら「70点」と回答。やはり悲願の8強入りを達成できなかった悔しさを、マイナスポイントに挙げた。
また、DF長友佑都の掛け声で浸透した「ブラボー」なプレーを聞かれた吉田は「これ、すごい専門的な話なんですけど」と切り出し、グループステージ最終戦スペイン戦での一幕を振り返った。
「前半に僕も含めて、DFが3人ともイエローカードをもらっちゃったんですよ。前半でもらうとすごくリスクが高くなるんです。後半に退場になる可能性があるんで」
前半39分から45分までの6分間でDF板倉滉、谷口彰悟、吉田に立て続けにイエローカードが提示され、最終ラインは危機的状況にあった。
そこで吉田が買って出たのが、主審とのコミュニケーションだった。
「審判にその時も抗議をして、前半が終わった時も抗議をし続けて、(後半が)始まる前にももう一度交渉して『ちゃんとジャッジをしてくれ』という話をした。そこからちょっと、流れが変わったかなと。自分の中では、それがブラボーなプレーです」
巧みな交渉が危機を脱し、日本代表のペースを引き寄せることに繋がったという。
ここで上田が素朴な疑問を口にすると、吉田がさらに答える。
「そうやって交渉すると、逆に厳しくなったりするなんてことはないんですか」
「審判によりますね。そこを見定めてのコミュニケーション能力が、すごい大事になってきます」
スポーツ中継スタッフが言う。
「吉田の冷静な抗議の甲斐もあってか、先の6分間以外で主審は1枚もイエローカードを提示していません。W杯という大舞台で、レフェリーも一時的に正常なジャッジの基準を見失っていた可能性があるのかもしれません。後半にはMF堂安律の目の覚めるような左足のシュートに続き、『三笘の1ミリ』で逆転するなど、ミラクルに次ぐミラクルで、そのまま逃げ切りに成功。まさにブラボーなキャプテンの、陰なるアシストでした」
世界を相手にするには、ワールドクラスの交渉術もまた、必須な能力なのである。
(木村慎吾)