いよいよブラジルW杯の組み合わせが決定し、日本はコロンビア、コートジボワール、ギリシャと同じC組となった。W杯優勝経験国との対戦がなく、比較的恵まれた感もあるが、逆に、どこが抜け出してもおかしくない混戦必至のグループと言える。はたして日本は1次リーグを突破し、前回大会以上の活躍ができるのか。“ご意見番”釜本邦茂日本サッカー協会顧問が過激提言する。
今年最後の欧州遠征(11月)は、よくやったと思いますよ。10月の遠征を無得点で連敗したことで、選手は「これではダメだ」「何とかしないといけない」と発奮し、いいゲームにつながったと思います。特に、3対2で逆転勝利したベルギー戦は、見ていておもしろかった。選手は積極的に遠くからでもシュートを放っていたし、ザッケローニ監督もこれまでにない選手起用を見せてくれましたからね。
ザックJAPANは、10月と11月の2度の欧州遠征で「天国と地獄」を味わった。第1次遠征では、W杯予選敗退のセルビアに0対2で完敗。ベラルーシにもゼロ封された。こうした日本代表の体たらくに檄を飛ばしたのが、日本サッカー協会の釜本邦茂顧問だった。10月17日に開かれた第66回新聞週間「記念の集い」の席で、「パスはうまくなったが、ゴールへ向かわなくなった」と叱咤し、「ザック監督を代えるべき」と更迭論まで展開したこともあった。そんな釜本氏には現在のザックJAPANがどう映るのか。
ハハハッ、「ザック監督を代えろ」というのは冗談で、僕なりの代表へのエールですよ。W杯開催まで残り半年というこの時期になって、日本サッカー協会が監督を外すわけがないことは、誰でもわかっている。いまさら「また、岡田(武史)クンにやってもらおうか」なんて言えるはずもない(笑)。
確かに「いつも同じメンバーで、交代も同じことの繰り返し。繰り返しならボクにでもできる」とは言ったかもしれないな。
その真意は、“試合内容も結果も伴わないなら、新しい試みをしていかなければいけないでしょう”ということを伝えたかったわけです。ザッケローニ監督にしてみれば、連係をよりよくするためにメンバーを固定していたのかもしれないけど、日本代表に新しい血を入れることがなかったからね。
最近の若手のサッカー解説陣は静かなタイプが多いみたいだし(笑)、自分の発言が思いもよらず、反響を呼んでしまったということにすぎないよ。
だが、10月の1次遠征で連敗を喫したザックJAPANは大きく変わった。今年最後の遠征では、中2日という強行スケジュールだったとはいえ、2試合連続スタメンは本田圭佑、清武弘嗣、長谷部誠、山口蛍、吉田麻也の5人だけで、11月16日のオランダ戦では、香川真司もベンチスタート。釜本氏の提言に追従する形で、チームの危機を食い止めた結果となった。
11月の遠征の結果は、新しい血の導入で、選手間の競争が生まれ、チーム内の活性化につながったこともよかった。それぞれが自分の持ち味を再確認して戦っていたように見える。そのいい例が、遠藤(保仁)だね。年齢的にも90分間フルにガンガン戦うのは難しくなってきた中で、相手ディフェンダーが激しく来る前半でなく、ちょっと間の空くこともある後半だと、彼が得意なボールを散らすというパターンが生きる。ベルギー戦では彼自身、非常にいいサッカーができたと感じたのと違いますか。
◆アサヒ芸能12/10発売(12/19号)より