「日経トレンディ」の恒例企画「ヒット商品ベスト30」。ヒット予測と、実際にヒットした商品を、勝手に答え合わせしてみた。2022年初にヒット予測されていたのは、以下の通りだ。
徒歩や電車での移動でマイルが貯まるアプリ「Miles」「ANA Pocket」/冷凍食品スーパー/NFTトレーディングカード/次世代自販機/軽量スマートグラス/アルコール入り炭酸飲料「ハードセルツァー」/日テレ「スッキリ」が密着したオーディションで選ばれた7人組ボーイズグループ「BE:FIRST」/ちいかわ/Z世代のSNS「パラレル」/女性更年期に備えるデバイス「フェムテックギア」
このうち、同誌の2022年12月号で紹介された「2022年ヒット商品ベスト10」と日経新聞ヒット商品番付にともにランクインしたのは、小さくて可愛いキャラクターを描いた「ちいかわ」のみ。
冷凍食品専門スーパーではなく、コンビニの冷凍ケースが充実し、中でもレンジでチンして食べる「冷凍冷やし中華」が大ヒット。アルコール炭酸飲料も海外の人気商品ではなく、和素材を配合した「翠ジンソーダ缶」がハイボール缶を上回る売れ行きとなり、アサヒ生ビール缶もヒットした。
2022年は「睡眠の質」を追求する商品が売れた。日経新聞のヒット商品番付で「大関」、日経トレンディのヒット商品ランキングでも1位になった「ヤクルト1000/Y1000」は、ストレス緩和と深い眠り「ノンレム睡眠」時間が長くなる効果が期待される乳酸菌飲料である。ほかに、寝る前に飲むと疲れが取れる効果があるとされる「アリナミンナイトリカバー」、耳を温めて安眠を促す「ナイトミン 耳ほぐタイム」など、睡眠関連商品4商品がトップ30入りした。
こうしてヒット予測との答え合わせをしてみれば、実際にヒットしたのは「更年期」ではなく、全世代共通の悩みである「睡眠」だった。
ヒット予測に挙がっていた「BE:FIRST」や、日韓女性ガールズグループ「NiziU」のオーディションに密着していた朝の長寿番組「スッキリ」は、2023年3月末で終了する。
「韓流タレントのゴリ推しが、視聴者離れを加速させました。スポンサーの意向で、民放各局は視聴者の若返りを迫られています」(テレビ関係者)
というのだから世の中、何が起こるかわからない。2023年は「スッキリ」の他にも、長寿番組が次々と打ち切られる年になりそうだ。
同誌の2023年ヒット予測はというと、
コンビニジム/シン・仮面ライダー/ステルス家電/カスタムビール/味変スプーン&おわん/東急歌舞伎町タワー/水素調理レストラン/ライブゲーム/光ヘアケアドライヤー/ヨーグルト/NFTチケット/ハリーポッターワールド
日経新聞と「日経トレンディ」のヒット予測は、概念論が増えた。消費者の指向が読めない時代になったといえるだろう。
その中でヒットのテッパンは、庵野秀明監督作品。2021年、2022年の「シン・エヴァンゲリオン」「シン・ウルトラマン」がヒット商品にランク入りしている。Z世代を意識する一方で、2021年以降の昭和平成への回帰指向は、新年になっても続くのだろう。
今さらカスタムビールが流行るといわれても、今まで通り新年も居酒屋でおいしくホッピーが飲めれば、それで御の字だ。