海の向こうからとんでもないニュースが飛び込んできた。頻繁に昼寝(1時間以上)をする人は、しない人に比べて寿命が短いという。昼寝は体にいいのではなかったのか?
ケンブリッジ大学が40歳~79歳のイギリスの男女1万6000人を対象に13年間調査した研究の結果を発表した。それによると、1時間以上の昼寝をしている人は、そうでない人に比べて早く死ぬ確率が32%も高いことが確認されたという。厚生労働省は「健康づくりのための睡眠指針」でこう指摘している。
「午後の眠気による仕事の問題を改善するのに昼寝が役に立ちます。午後の早い時刻に30分以内の短い昼寝をすることが、眠気による作業能率の改善に効果的です」
多くの学者が、慢性の睡眠不足は健康を阻害する、と力説しているが、ケンブリッジ大学の研究チームは以前に、42歳~81歳のイギリス人1万人を対象に行った調査では、8時間以上の睡眠が脳卒中のリスクを46%高めることがわかった、と発表。8時間以上寝ていると答えた人の脳卒中リスクは、6~8時間と答えた人の2倍だったというのだ。しかし、長い時間の昼寝や、8時間以上の睡眠が健康を阻害する原因はまだ明らかではないという。心血管系疾患のリスク因子とは異なる何かが存在する可能性があるのだ。東洋医学を研究する整体師の青山義雄氏は言う。
「30分以上の昼寝は、いわゆるノンレム睡眠になってしまうので、疲れが取れるどころか、逆に疲れがたまってしまう。また、睡眠不足は代謝を阻害しストレスホルモンを高めるといわれていますが、長時間の睡眠もリスクを高めてしまう。つまり、なんらかの体内の異常、体調不良が長時間の睡眠を求めていることが考えられるのです」
どんな睡眠でもいいというわけではなく、睡眠の質が健康の鍵を握っているようだが、睡眠時間の長さも健康のバロメータのようなのだ。1時間以上の昼寝や8時間以上の睡眠が続くようなら、どこか体に異常があるのかも。早急の検査をお勧めする。
(谷川渓)