この2人は何者か──。今年の「女芸人No.1決定戦“THE W”2022」(日本テレビ系)を見て、そう思った人は少なくないのではないか。
竹内知咲(30歳)とますみ(35歳)からなる「天才ピアニスト」なるお笑いコンビである。
1stステージでは「大阪のずうずうしいおばはん」コント、決勝戦はVRで現実逃避する家族の食卓風景をコミカルに描くネタ。審査員の麒麟・川島明、アンガールズ田中卓志、ドランクドラゴン塚地武雅、笑い飯・哲夫、友近、マヂカルラブリー野田クリスタルら、6人と視聴者票からなる全7票のうち計4票を獲得して優勝し、賞金1000万円を手にした。
女芸人の頂点に立ったことで、いやがうえにも注目を浴びることになるのだが、失礼ながら、全国的には広く知られた存在ではないのでは…。
お笑い関係者が、そのプロフィールを語る。
「吉本興業所属のコンビで、昨年の『THE W』で準優勝。5月に行われた、関西の若手芸人の登竜門と言えるNHK上方漫才コンテストでは『非常階段』以来、36年ぶりとなる女性コンビの優勝となるなど、その実力は賞レースでも目立っていました。ただ、活動の中心が大阪であることから、過去の優勝者であるゆりやんレトリィバァや阿佐ヶ谷姉妹、今回惜しくも敗れたAマッソなどに比べれば、知名度はイマイチかもしれません」
その知られざる経歴をたどってみると、ボケのますみは芸人になる前、奈良県の看護学校を卒業して天理市の総合病院に勤務し、消化器外科や脳神経外科の担当をしていた元看護師だ。ツッコミでネタ作りも担当する竹内は、京都府立大学生命環境学部を卒業したのち、母校の高校で理科の非常勤教師に。異色の前歴を持つコンビだ。お笑い関係者が続ける。
「ますみの看護師歴は10年。特技は採血だそうです。竹内は両親も教師というお堅い家庭育ち。大学では美味しいホウレンソウの栽培方法などを研究していたとか。教師として授業で生徒を惹きつける話ができるようになりたい、と悩んだこともあります。2人はNSC(吉本総合芸能学院)大阪校38期同士として出会い、入学後の16年にコンビを結成しています。同期はエルフ、オフローズ、フースーヤなどですから、出世頭と言えるでしょう」
コンビが注目されるようになったきっかけは、芸歴2年目にますみが始めた、厚化粧をした上沼恵美子のモノマネ。上沼本人にも「モノマネされてすごく嬉しいのよ」とお墨付きをもらっており、「ザ・細かすぎて伝わらないモノマネ 2020」(フジテレビ系)などにも出演経験がある。
「まだまだ出演は関西のテレビ番組が多いのですが、YouTubeチャンネルは大人気です。特に看護師経験を生かした、ますみのリアルなあるあるネタは、1本につき70~100万再生超えとなるなど、隠れ人気チャンネルとなっていますね。医療従事者の中にもファンが多いのが特徴です」(在阪メディア関係者)
今回の優勝で全国放送の番組への出演が確約されたわけだが、当の本人たちはこんな発言をしている。今年9月15日に放送された「Aマッソのヤングタウン」(MBS)にゲスト出演した際に、東京進出について聞かれて「軸足は大阪に置いてますから」(竹内)と、あまり乗り気でないよう。竹内の言い分はこうだ。
「どっちかと言ったら舞台、劇場の仕事が好きなんですよね、今は。7年目なんですけど、10年未満は結構、関西(には)賞レース多いんですよ。ちょっと賞レースが楽しいんで、大阪におりたいな。めっちゃテレビ出たい感じでもないので」
相方のますみの理由はというと、
「バラエティーガールには向いてないんです」
今後、全国放送でその実力が試される。