日本列島を歓喜に包んだW杯サッカー日本代表だが、にわかに注目を浴びている「問題」がある。それは森保一監督を筆頭に、吉田麻也主将ら選手に支給されるボーナスの額が「非公表」になったことだ。日本サッカー協会(JFA)の田嶋幸三会長は、
「カタール大会で監督、選手に支給するボーナスについて、話し合いは終わっています。金額ですか。それは選手側と話し合って、公表しないことに決めました」
選手にはW杯1勝につき1人200万円、ベスト16進出で600万円が基本額。これに日当1万円などが支給される。カタール大会は2勝2敗に終わったことで1人あたり約1000万円の計算となる。これまで報じられているボーナス規定はJFAが11年に発表したもので、ブラジル、ロシア、そして今回のカタール大会と、金額が下がっているとは考えにくい。
しかし、JFAはコロナ禍による大幅な減収により、22年度予算は収入が約192億円、支出は約238億円で、過去最大となる46億円もの赤字を見込んでいる。
そこでJFAは、最後の所有不動産となる自社ビル、JFAハウス(東京都文京区)の売却を決定。金額は100億円以上となったが、JFAの須原清貴専務理事は、
「赤字を埋めるための売却ではない。資産をより効率的にサッカーの普及、発展のために使うことが求められている」
とコメント。いずれにせよ、かなり厳しい財政状況が続いており、地方協会からも「JFAの今後は本当に大丈夫なのか」とする不安の声が多く聞かれるのだ。
とはいえ、田嶋会長はボーナスについて、
「W杯に出場した他国とひけをとらない金額にはなっている」
と胸を張る。
ただし、国際サッカー連盟(FIFA)から今大会の賞金として贈られる約20億円は、JFAの財政が好転するような額ではない。
強豪国相手に歴史的勝利を収めたにもかかわらず、W杯戦士たちはカツカツのボーナス支給を待つ師走となりそうだ。
(小田龍司)